(CNN) 米国が20年前に打ち上げ、23日に大気圏に突入する見通しの人工衛星「UARS」の問題で、米航空宇宙局(NASA)は21日、26個の破片が地上に落下する可能性があるとの見方を示した。
大気圏外で周回する宇宙ゴミ問題担当のNASA当局者は、大気圏突入の数分前でも同衛星の破片の落下地点を特定するのは不可能としている。突入の場所がその直前でも見極めるのが非常に難しい問題が絡んでいるとも述べた。
ただ、地球の表面面積の約7割は海上などのため破片の落下場所は大部分が大洋や海と予想している。仮に陸地に落ちたとしても人間に当たるリスクはほとんどないとも説明した。
機体の大部分がアルミニウム製のUARSの重さは6トン。アルミニウムは比較的、低温度で燃焼するが、衛星の一部で使われるステンレス鋼、チタンやベリリウムは燃焼温度が高く機体のうち重さ約500キロ相当が大気圏突入に耐え、地上に落ちる可能性があるとしている。地上に落ちそうな破片26個の重さは数キロから数十キロと予想している。
NASAによると、UARSと同等の大きさの物体が大気圏に突入する例は年に1回ほどある。ただ、大気圏に突入するNASAの衛星としては、UARSは過去30年で最も大きい。1979年には米国の宇宙ステーションで重さが75トンあったスカイラブが大気圏に突入し、燃え残った破片がオーストラリア西部に落下していた。