地方「何が正しいか分からない」日進市長謝罪、課題残した花火問題 福島2011.9.23 02:08

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「何が正しいか分からない」日進市長謝罪、課題残した花火問題 福島

2011.9.23 02:08

 愛知県日進市の花火大会で、川俣町製の花火の打ち上げが中止された問題は、目に見えない放射能への不安を打ち消すことの難しさを改めて知らしめた。

 22日、川俣町を訪れた日進市の萩野幸三市長は、声をつまらせながら「心よりおわびしたい」と古川道郎町長と花火を製造した菅野煙火店、菅野忠夫代表に謝罪した。

 会談後、インタビューで中止を判断した是非を繰り返し問われた萩野市長は、何度も答えに詰まり、最後に「正しい判断でなかった。放射能の問題をしっかり整理し、客観性をもって判断すべきだった」と対応の甘さを認めた。

 ただ、市長は「正直何が正しかったのかいまだに分からない」とも述べ、「市民の不安」と「被災地の思い」の板ばさみで苦しい選択を迫られたつらさを漏らした。

 花火大会は、市民有志や商工会でつくる実行委員会が主催し、市の権限で対応できない部分も多かったようだ。

 会談で古川町長は「町には計画的避難区域の山木屋地区もあるが、菅野さんの工場はまったく別の場所だ。花火は昨年に製造されており工場の管理もしっかりしていた」と説明。

 さらに、作業場の空間線量率が最高でも毎時0・45マイクロシーベルトにすぎず、花火表面の放射線量も微量だったデータを示して理解を求めた。

 県内ではこうした放射線への知識はかなり定着している。しかし、愛知県では行政当局でも、安全性の判断ができず、結局、一部市民の強い声に押し流されたようだ。

 市長は新たな風評被害を招いた責任を認め、町側が求めた市民への啓発などに努力する考えも示している。また「謝罪を寛容に受け入れてくれた町長や菅野さんに感動した。市のイベントで川俣の名産品を積極的に販売したい」と交流への意欲を訴えた。

 だが、正しい理解を深め、しっかりした判断基準を持たなければ、同じ過ちを繰り返すおそれもある。復興支援に水を差さないためにも、全国の行政トップは放射線について学び、福島側も安全性を丁寧に説明する努力が求められる。(中川真)

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