曹洞宗の僧侶が妻帯しているのは仏教の戒律や道元の教えを犯しているとして、栃木県の男性僧侶が大本山永平寺(永平寺町)に、僧侶が妻帯しないよう厳しい指導を求めた訴訟の判決言い渡しが22日、福井地裁であった。平野剛史裁判官は「憲法上、裁判所がこの種の裁判を審理することは許されていない」として訴えを却下した。
判決理由で平野裁判官は「裁判所という国家機関が、宗教団体に特定の教育手法を採るよう命じることは、憲法が保障する信教の自由を侵害する」と指摘。「曹洞宗本来の教えに立ち返った教育の在り方に改めるよう求めた原告の請求に対する判断は、大本山永平寺の自由な意思決定に委ねるべきだ」と述べた。
男性僧侶は判決について「仕方ない」としながらも控訴する方針。「仏教の教えは真綿で頬をなでるような優しさがあるが、今の日本の僧侶の多くは結婚してほとんど勉強せず、難しい言葉だけを並び立てて人をけむに巻いている」と話している。