千葉県警“見せしめ逮捕”に前県議が怒りの反論
【政治・経済】
信号無視 「突然7人の警官が自宅に押しかけてきた」
県警発表によると、吉川氏は3月8日、柏市内の国道16号の交差点にバイクで進入、赤信号を無視して右折。出頭要請を拒否したため、逮捕したという内容だ。これに対し、吉川氏は真っ向から反論。憤りを隠さない。
「まず当時の右折信号は青で、信号無視はありません。たったひとりの警官の目撃証言だけで道交法違反というのです。私は現場検証にも立ち会っていない。そんなバカな話がありますか。出頭通知には『(指定の)日時は都合が悪い』という文書を返し、『6月になったら日程調整してうかがう』との電話も柏署に入れた。それなのに7人もの警官が突然、自宅に押し掛け、トイレまで調べた。マスコミ報道は県警の一方的な発表をタレ流し。私や弁護士に取材がなかった。冤罪(えんざい)事件はこうしてつくられるのだと思いました」
吉川氏は結局、検察の取り調べも全面否認し、3日後に釈放された。柏署は「適法、適正な捜査と考えている」と説明するが、県警の“狙い”はどこにあるのか。
「不正経理問題を追及した吉川氏に対して県警が『面白くない』と思っているのは間違いない。それに吉川氏は、自民党支部長でありながら知事選で『完全無所属』を掲げた森田知事を公選法違反で告発したグループの中核です。これも引っ掛かりますね」(地元記者)
元共同通信社記者で、同志社大社会学部の浅野健一教授はこう言う。
「メチャクチャな事件です。そもそも本人が違反を認めておらず、任意捜査や調書作成に応じる必要はありません。裁判員裁判制度が導入され、犯人視扱いしない、両者(県警と容疑者など)の言い分を書く――となったが、犯罪報道の構造的な問題は変わっていない。この事件と(無罪が確定した)布川事件と何が違うのかとさえ感じます」
“口封じ逮捕”“見せしめ逮捕”がまかり通るようでは江戸時代と何ら変わらない。