福島
どうもみなさんこんにちは。今日はグリーンピースの自然エネルギー担当部長のスベン・テスケさんに来ていただきました。ドイツの出身の方です。スベン・テスケさん、今日はほんとうにありがとうございます。Danke schön!
最近グリーンピースが「自然エネルギー革命シナリオ」(『自然エネルギー革命シナリオ - 2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/energy/enelevo/を作られました。
今日は、原発がなくても大丈夫、という話を専門家の立場からしていただこうと思って来ていただきました。スベン・テスケさん、どういうシナリオを考えていらっしゃるのかお話しください。
テスケ
このシナリオは日本のISEP(環境エネルギー政策研究所)の方とドイツの航空宇宙センター(DLR)との協力により、作成されたシナリオです。特に ISEPにご協力いただいたのは省エネの部分と、需要をどうするかという部分です。とりわけピーク時の需要をどのように確保するかというピークマネジメントという点でご意見をいただきました。
まずこのシナリオの内容で二つの部分があります。一つは需要の部分、つまり自分達がどのように使うかという部分を見直すこと、そして二番目がどのように発電するか、供給するかという部分です。
一番目の需要、どのように使うかという部分については、あらゆる電気、エネルギーを使う製品・機器について厳しい省エネ基準を設けることを提案しています。とりわけ、たとえば太陽パネルなどを入れますと日中、エアコンを使うようなときにたくさん発電をするので、そうしたことも考えに入れながらどのようにして消費量を減らすかということを検討しています。
二つ目の発電についてですが、まずは天然ガス火力発電の稼働率を少し上げるということを検討しています。そして、天然ガスの火力発電ですけれども、地震の前までは大体50%程度の稼働率でした。これを70%から80%程度まで引き上げることによって、既存の天然ガス火力発電所で、発電量が落ちる部分を十分カバーできます。次に、天然ガスを使うことに加えて、これから伸ばす二つの分野があります。それが太陽光発電と風力発電です。この二つは大きな可能性を持って即効性があります。そして具体的にはそれぞれ太陽光発電と風力発電を日本において来年から年間500万キロワット、1年あたり5千メガワット導入していくことをお薦めします。風力に換算しますと現在の導入量の5倍の数字になるので大きいと思われるかもしれませんが、これは十分可能です。というのも、太陽パネルの技術も風力の技術もすでに日本に存在していますし、きちんと確立された技術だからです。
この、風力と太陽光を伸ばしていくことに非常に重要なことがあります。それが固定価格買取制度です。日本でも最近、法案として無事に通ったということを聞いていますが、その具体的な内容についてはこれから検討されるということも聞いています。ですので、この内容を、しっかりしたものを作るということがとても重要です。この固定価格買取制度でもうひとついい点があります。農家の方、第一次産業の方に非常に利点があるということです。固定価格買取制度のもとに、太陽光パネルや風車を農家の方が自分の土地に導入しますと、固定で買い取ってもらえるという担保がつきますので、天候に左右される農家や林業の仕事とは別に安定した固定収入が毎月入ることになります。それが第二の収入というようなものになり、半農半OOのような形でコミュニティ全体を支える、コミュニティ全体の安定化につながると思います。
ドイツの場合には、この農家の第二の収入ということがすでに実例としてありまして、農家の場合は農家の持っている建物の屋根に太陽光パネルをたくさんつけたり、農地の一部に風力発電の風車を建てたりしているところがたくさんあります。そしてこうして自然エネルギーを導入してもその土地をつぶすということではなく、風車の隣や太陽光パネルの下でもちろん作物を育てたり、家畜を飼ったりすることができるので、農家として作物を育てること以外にエネルギーも同時に収穫することができる、二つの収入源を得ることができるという利点があります。ドイツの場合は自由化された農業の中で国際的な競争にさらされた家族経営の農家がたくさんありました。そうした農家はこのような自然エネルギーの導入ということで収入を安定させて現状を切り抜けています。
今回の地震と原発事故をきっかけにしたことは日本にとって大きなチャンスだと思います。自然エネルギーへの転換は私たちの試算では、新しく少なくとも30万人分の雇用を生み出す計算になっていますし、またCO2の排出も1990年比で2020年には25%の目標も達成できるというふうに考えています。つまり、大きなチャンスが目の前にあるということです。経済のことを考えても、持続可能なビジネス、この分野でのビジネスも大きく伸びると考えています。大きな転換点に立っていると思います。
この固定価格買取制度ですが、自然エネルギー導入に当たってどれくらい賦課金がかかるかが話題になっています。こちらについては私たちの試算ではおそらく1キロワット時当たり0.5円くらいでまかなえるのではないかという計算があります。この場合に、賦課金はみなで負担するのですが、電力多消費産業を除くというやり方もあるように思います。私は日本の技術力やビジネススキルについて信頼を持っていますので、日本の技術者やビジネスパーソンたちが今回のことをきっかけに、日本の経済にダメージを与えるのではなくて日本の経済を生かした形で大きな自然エネルギーへの転換ができるのだということを信じています。
福島
スベン・テスケさんが、「2012年、全ての原発停止で日本がよみがえる」と書いていらっしゃいますよね。「要約 2012年、全ての原発停止で日本がよみがえる」と。そうしますとこれは自然エネルギーや太陽光・風力が産業として成功するにはちょっとだけ時間がかかると、でも、2012年にはもう可能だという、そういうシナリオなんでしょうか。
テスケ
まずは省エネということと天然ガスで稼働率を上げるということがありますが、続いてほぼ同時に太陽パネル、太陽光発電と風力発電を伸ばしていくことができます。そして日本の場合は地熱も非常に大きな可能性を持っています。もちろんどんどん伸ばしていきたいのですが、こちらは太陽光や風力と比べると2年ほど余計に時間がかかりますので時差があると考えています。いずれにしても技術的なことは何の問題もないと思っています。必要なのはきちんとした政策、きちんとした規制だと思っていますのでその点を注目しています。
福島
日本の社民党も、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫という試算をしました。日本の原発は、外国もそうかもしれませんが、地震で止まったり、定期検査で止まったりするのでバックアップとして火力発電などを持っているんですね。ですから必然的に日本は実は原発は止めても大丈夫という仕組みになっているので、私たち日本の社民党も、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫という試算をしたのです。ただ、これからCO2が石炭より少ない天然ガスに転換したり、エネルギーシフトを促進するためのさまざまなプログラムをしっかり応援していきたいと思っています。
テスケ
長い視点に立つ新しい取り組みももう始まっています。太陽光や風力で発電された余剰電力を使って、余剰電力をメタンガス、つまり天然ガスの形に変え、それを貯蔵したり発電に使ったりということも可能ですので、そのパイロット・プロジェクトがすでにヨーロッパでは始まっています。また、一つ付け加えさせて頂ければ、原発関係の仕事に従事している人が近い将来その仕事がなくなるということはありません。というのは、廃炉にしたり、原発を停止しても必要な仕事は残っているのでその仕事は維持されます。先ほどの30万人は、それに加えての新しい雇用ということです。
福島
ドイツは2022年までに原発ゼロ、2050年までに自然エネルギー100%というプランを発表され、法案も通りました。日本の社民党は2020年までに原発ゼロ、2050年までに自然エネルギー100%というプランを発表しています。ドイツと日本、どちらが先に自然エネルギー100%になるか、いい意味で競争になるといいと思っています。でも今日スベンさんのお話をうかがって、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫ということを立証されたと聞いて、私たちもおおいにPRをしていきたいと思います。
スベンさん、どうもありがとうございます。ドイツの道路を走っているとたくさん風車を見たりしますもんね。今日は心強い『自然エネルギー革命シナリオ、2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』の概要の話を、グリーンピース自然エネルギー担当部長のスベン・テスケさんにしていただきました。自然エネルギーについてもっともっと語りたいと思っていらっしゃるでしょうが、それはまた次の機会にでもしっかり語ってください。今日はほんとうにありがとうございます。
どうもみなさんこんにちは。今日はグリーンピースの自然エネルギー担当部長のスベン・テスケさんに来ていただきました。ドイツの出身の方です。スベン・テスケさん、今日はほんとうにありがとうございます。Danke schön!
最近グリーンピースが「自然エネルギー革命シナリオ」(『自然エネルギー革命シナリオ - 2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/energy/enelevo/を作られました。
今日は、原発がなくても大丈夫、という話を専門家の立場からしていただこうと思って来ていただきました。スベン・テスケさん、どういうシナリオを考えていらっしゃるのかお話しください。
テスケ
このシナリオは日本のISEP(環境エネルギー政策研究所)の方とドイツの航空宇宙センター(DLR)との協力により、作成されたシナリオです。特に ISEPにご協力いただいたのは省エネの部分と、需要をどうするかという部分です。とりわけピーク時の需要をどのように確保するかというピークマネジメントという点でご意見をいただきました。
まずこのシナリオの内容で二つの部分があります。一つは需要の部分、つまり自分達がどのように使うかという部分を見直すこと、そして二番目がどのように発電するか、供給するかという部分です。
一番目の需要、どのように使うかという部分については、あらゆる電気、エネルギーを使う製品・機器について厳しい省エネ基準を設けることを提案しています。とりわけ、たとえば太陽パネルなどを入れますと日中、エアコンを使うようなときにたくさん発電をするので、そうしたことも考えに入れながらどのようにして消費量を減らすかということを検討しています。
二つ目の発電についてですが、まずは天然ガス火力発電の稼働率を少し上げるということを検討しています。そして、天然ガスの火力発電ですけれども、地震の前までは大体50%程度の稼働率でした。これを70%から80%程度まで引き上げることによって、既存の天然ガス火力発電所で、発電量が落ちる部分を十分カバーできます。次に、天然ガスを使うことに加えて、これから伸ばす二つの分野があります。それが太陽光発電と風力発電です。この二つは大きな可能性を持って即効性があります。そして具体的にはそれぞれ太陽光発電と風力発電を日本において来年から年間500万キロワット、1年あたり5千メガワット導入していくことをお薦めします。風力に換算しますと現在の導入量の5倍の数字になるので大きいと思われるかもしれませんが、これは十分可能です。というのも、太陽パネルの技術も風力の技術もすでに日本に存在していますし、きちんと確立された技術だからです。
この、風力と太陽光を伸ばしていくことに非常に重要なことがあります。それが固定価格買取制度です。日本でも最近、法案として無事に通ったということを聞いていますが、その具体的な内容についてはこれから検討されるということも聞いています。ですので、この内容を、しっかりしたものを作るということがとても重要です。この固定価格買取制度でもうひとついい点があります。農家の方、第一次産業の方に非常に利点があるということです。固定価格買取制度のもとに、太陽光パネルや風車を農家の方が自分の土地に導入しますと、固定で買い取ってもらえるという担保がつきますので、天候に左右される農家や林業の仕事とは別に安定した固定収入が毎月入ることになります。それが第二の収入というようなものになり、半農半OOのような形でコミュニティ全体を支える、コミュニティ全体の安定化につながると思います。
ドイツの場合には、この農家の第二の収入ということがすでに実例としてありまして、農家の場合は農家の持っている建物の屋根に太陽光パネルをたくさんつけたり、農地の一部に風力発電の風車を建てたりしているところがたくさんあります。そしてこうして自然エネルギーを導入してもその土地をつぶすということではなく、風車の隣や太陽光パネルの下でもちろん作物を育てたり、家畜を飼ったりすることができるので、農家として作物を育てること以外にエネルギーも同時に収穫することができる、二つの収入源を得ることができるという利点があります。ドイツの場合は自由化された農業の中で国際的な競争にさらされた家族経営の農家がたくさんありました。そうした農家はこのような自然エネルギーの導入ということで収入を安定させて現状を切り抜けています。
今回の地震と原発事故をきっかけにしたことは日本にとって大きなチャンスだと思います。自然エネルギーへの転換は私たちの試算では、新しく少なくとも30万人分の雇用を生み出す計算になっていますし、またCO2の排出も1990年比で2020年には25%の目標も達成できるというふうに考えています。つまり、大きなチャンスが目の前にあるということです。経済のことを考えても、持続可能なビジネス、この分野でのビジネスも大きく伸びると考えています。大きな転換点に立っていると思います。
この固定価格買取制度ですが、自然エネルギー導入に当たってどれくらい賦課金がかかるかが話題になっています。こちらについては私たちの試算ではおそらく1キロワット時当たり0.5円くらいでまかなえるのではないかという計算があります。この場合に、賦課金はみなで負担するのですが、電力多消費産業を除くというやり方もあるように思います。私は日本の技術力やビジネススキルについて信頼を持っていますので、日本の技術者やビジネスパーソンたちが今回のことをきっかけに、日本の経済にダメージを与えるのではなくて日本の経済を生かした形で大きな自然エネルギーへの転換ができるのだということを信じています。
福島
スベン・テスケさんが、「2012年、全ての原発停止で日本がよみがえる」と書いていらっしゃいますよね。「要約 2012年、全ての原発停止で日本がよみがえる」と。そうしますとこれは自然エネルギーや太陽光・風力が産業として成功するにはちょっとだけ時間がかかると、でも、2012年にはもう可能だという、そういうシナリオなんでしょうか。
テスケ
まずは省エネということと天然ガスで稼働率を上げるということがありますが、続いてほぼ同時に太陽パネル、太陽光発電と風力発電を伸ばしていくことができます。そして日本の場合は地熱も非常に大きな可能性を持っています。もちろんどんどん伸ばしていきたいのですが、こちらは太陽光や風力と比べると2年ほど余計に時間がかかりますので時差があると考えています。いずれにしても技術的なことは何の問題もないと思っています。必要なのはきちんとした政策、きちんとした規制だと思っていますのでその点を注目しています。
福島
日本の社民党も、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫という試算をしました。日本の原発は、外国もそうかもしれませんが、地震で止まったり、定期検査で止まったりするのでバックアップとして火力発電などを持っているんですね。ですから必然的に日本は実は原発は止めても大丈夫という仕組みになっているので、私たち日本の社民党も、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫という試算をしたのです。ただ、これからCO2が石炭より少ない天然ガスに転換したり、エネルギーシフトを促進するためのさまざまなプログラムをしっかり応援していきたいと思っています。
テスケ
長い視点に立つ新しい取り組みももう始まっています。太陽光や風力で発電された余剰電力を使って、余剰電力をメタンガス、つまり天然ガスの形に変え、それを貯蔵したり発電に使ったりということも可能ですので、そのパイロット・プロジェクトがすでにヨーロッパでは始まっています。また、一つ付け加えさせて頂ければ、原発関係の仕事に従事している人が近い将来その仕事がなくなるということはありません。というのは、廃炉にしたり、原発を停止しても必要な仕事は残っているのでその仕事は維持されます。先ほどの30万人は、それに加えての新しい雇用ということです。
福島
ドイツは2022年までに原発ゼロ、2050年までに自然エネルギー100%というプランを発表され、法案も通りました。日本の社民党は2020年までに原発ゼロ、2050年までに自然エネルギー100%というプランを発表しています。ドイツと日本、どちらが先に自然エネルギー100%になるか、いい意味で競争になるといいと思っています。でも今日スベンさんのお話をうかがって、今年の夏も来年の夏も原発を止めても大丈夫ということを立証されたと聞いて、私たちもおおいにPRをしていきたいと思います。
スベンさん、どうもありがとうございます。ドイツの道路を走っているとたくさん風車を見たりしますもんね。今日は心強い『自然エネルギー革命シナリオ、2012年、すべての原発停止で日本がよみがえる』の概要の話を、グリーンピース自然エネルギー担当部長のスベン・テスケさんにしていただきました。自然エネルギーについてもっともっと語りたいと思っていらっしゃるでしょうが、それはまた次の機会にでもしっかり語ってください。今日はほんとうにありがとうございます。
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