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次々と破綻する欧米の再生可能エネルギー関連企業

藤沢数希/アゴラ
2011年8月31日、アメリカのソーラーパネル製造メーカー第3位のソリンドラが破綻した。太陽光発電は、火力発電や原子力発電に比べて経済性が全くないので、政府による融資や補助金が不可欠である。つまり何らかの形で血税が投入される。ソリンドラは政府から融資を受けるために、経営状況や自社製品の性能や将来性に関して、虚偽の報告をしていたのではないかと疑われており、現在、FBIに捜査されている。もし太陽光発電を利用して納税者の金を盗んだとなれば、経営陣の刑事罰は免れられないだろう。

ソーラーパネルに関しては、2005年までシャープや京セラなどの日本メーカーが世界の市場を席巻していた。その後、金融バブルであぶく銭を掴んだ欧州が、莫大な補助金を再生可能エネルギー分野に注ぎ込んだため、一気に日本のメーカーは抜かれることになる。そしてソーラーパネル製造においてトップに躍り出たのが、ドイツのQ-Cellsである。当時はひと株100ユーロで取り引きされていたこの会社の株価は、現在、0.6ユーロである。実に170分の1まで暴落したのである。

また欧州で増えた風力発電や太陽光発電は、送電網に多大な負担をかけることになった。2006年11月、ドイツなどの風力発電設備からの電力供給が予測から大きくズレ、送電網に大きな負担をかけ、欧州の1500万世帯にも及ぶ、欧州大停電を引き起こしている。その後、風力や太陽光の不安定な電源を扱うため、送電網のスマート化に多大な投資を続けている。スペインなどは、風力発電の割合が高く、発電量が急激に上昇しそうなときは、直ちに送電網から切り離し、陸続きのフランスから電力を引き入れるというような、綱渡りのオペレーションを続けている。

欧州の事例を見るならば、不安定な再生可能エネルギーは作れば作るほど新たな問題を引き起こし、利用者に極めて重い負担になってしまうということだ。欧州というと、最近ではユーロ危機ばかりが注目されているが、筆者はバブル期に作りすぎた再生可能エネルギーという莫大な負の遺産が、今後も欧州の人々に重くのしかかっていくと思う。

日本は欧米の過ちから学び、原子力を中心にして、最新のガス・コンバインドサイクル発電などを組み合わせ、経済的で地球環境負荷が少ない、オーソドックスなエネルギー政策に可及的速やかに復帰するべきだ。再生可能エネルギーで福島を復興させるなど、頭がおかしいとしかいいようがない。

参考資料
太陽光発電の希望の星、ソリンドラが墜ちた理由、WSJ
米政府の太陽光パネル会社融資保証に疑惑、WSJ
Q-Cells share price, Google Finance
自然エネルギーの不都合な真実、アゴラ
自然エネルギーの可能性と限界 —風力・太陽光発電の実力と現実解—、石川憲二

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