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東日本大震災(福島原発)(ニュース特集)

蒙、政府職員の外国との接触禁止 核処分場計画で大統領

 【ウランバートル共同】モンゴルに核廃棄物の貯蔵・処分場を建設する計画に関連し、モンゴルのエルベグドルジ大統領は15日までに、処分場の建設をめぐって政府職員が外国政府や国際機関と接触することを禁止する大統領令を出した。

 同計画は日本の経済産業省や米エネルギー省、東芝などが水面下で推進。一連の動きが海外メディアで伝えられ、モンゴル国内で強い反発が出ていた。大統領令はこうした国内情勢に配慮した措置とみられる。

 モンゴル側は、政府職員が同計画について外国政府や国際機関と協議したことはなく、今後協議する予定もないとの立場をとっている。

 大統領令は9日に出され、大統領、首相、国民大会議(国会)議長で構成する国家安全保障会議の許可なく、同計画をめぐり外国政府などと接触することを禁止するとしている。

(2011年9月15日)


■冷温停止、汚染水浄化… 事故収束に向け新段階

 東京電力福島第1原発では事故収束に向けた作業が新たな段階に入った。直面する多くの課題と現状を理解するキーワードをまとめた。

 【冷温停止】通常の原子炉では、核分裂反応が止まり、冷却水が100度未満で燃料が安定的に冷却されている状態を指す。しかし、福島第1原発では燃料が溶融して正確な水温が把握できないため、政府がどう定義するかを検討。圧力容器底部の温度が100度以下になり、放射性物質の放出を管理、放射線量を抑制した状態という条件を示した。事故収束に向けた東電の工程表では「ステップ2」で実現するとしている。

 【ステップ1、2】事故収束に向け、政府・東電統合対策室が作成した「工程表」の各段階。最初の3カ月間の「ステップ1」では原子炉の安定的な冷却を目指し、建屋地下にたまった汚染水を浄化して原子炉に戻す「循環注水冷却」や、2、3号機の使用済み燃料プールでの循環冷却、水素爆発防止のための窒素封入などを実施。7月から3~6カ月の「ステップ2」では、原子炉を冷温停止状態にして住民避難の解除を始め、その後3年をめどに使用済み燃料のプールからの取り出しに着手するとした。

 【汚染水の浄化】原子炉への注水に伴って増加する原子炉建屋やタービン建屋地下にたまった高濃度の放射性物質を含む汚染水から放射性物質を取り除く処理。日本、米国、フランスのメーカーの技術を組み合わせた設備で、6月に本格稼働を開始。水漏れなどのトラブルが続発、たびたび停止し、稼働率が低迷している。東電は、8月以降、放射性セシウムや塩分を除去する新たな装置を稼働させ、処理能力を向上させる計画だ。

 【原発ロボット】放射線量が高い原子炉建屋内など、作業員の被ばくが懸念される場所で、人に代わって事故収束作業を行う。高い放射線量に耐えられる材質が使われ、遠隔操作で動く。多くはカメラを搭載。線量調査のほか、放射性物質分析のためのちり採取、温度や酸素濃度の測定、砂やほこりの掃除、がれき撤去などに利用する。米国の「パックボット」、軍事用の「ウォリアー(戦士)」、撮影ができる無人ヘリ「Tホーク」、スウェーデン製ロボットなどが投入され、千葉工大、東北大などが開発した「クインス」も原子炉建屋に入った。

 【緊急時避難準備区域】主に福島第1原発から20~30キロ圏で、緊急時に屋内退避や避難を求める可能性がある地域。政府が原子力災害対策特別措置法に基づき福島県広野町全域、楢葉町、川内村、田村市、南相馬市の一部を指定。放射線の影響が特に大きい子どもや妊婦、要介護者、入院患者らの避難と、区域内の学校を休校にするよう求めた。細野豪志原発事故担当相は、原子炉への注水が中断されても安全性が確保できるかを8月上旬までに確認し、この区域の指定解除を地元自治体と協議する方針を表明した。

 写真:千葉工大、東北大など開発の「クインス」(上)、米国製「ウォリアー」(下左)、無人ヘリ「Tホーク」(下2枚は東京電力提供)


■原発事故で相談電話開設 政府や専門の研究機関

 東京電力福島第1原発事故を受け、政府や被ばく医療の専門機関が、放射線の健康への影響などについて市民の相談を受け付ける電話窓口を開設している。

 経済産業省原子力安全・保安院は、原発事故の全般的な状況などの問い合わせに毎日24時間対応する。電話番号は03(3501)1505。

 文部科学省は健康相談ホットラインを開設。放射線や放射線の影響に詳しい相談員が応対する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号フリーダイヤル(0120)755199。

 放射線医学総合研究所は、被ばく医療や、放射性物質が体に付着した場合の除染方法などを解説する。毎日午前9時から午後9時までで、電話番号043(290)4003(11日から)。

 首相官邸のホームページには原発事故に関連する情報がまとめて掲載されている。


原発と国家

 東日本大震災と東京電力の福島第1原発事故は人々の暮らしを破壊し、日本を不安に陥れた。戦後史に刻まれた2011年3月11日。地震と津波は途方もないがれきの山を残し、原子炉から漏れ出した放射性物質との苦闘はいまも続いている。巨大な複合災害はこの国に何を問いかけているのか。危機管理の不在、原 発安全神話、技術立国の過信、名門企業のおごり。隠れていた負の遺産を直視し、新しい日本を創る道を探してみたい。

会見要旨

「奮闘する新聞」

 東日本大震災は、地域に根付いた報道を続ける新聞社にも大きな打撃を与えた。停電で動かない輪転機、予期せぬトラブル。だが、それでも新聞の発行が止まることはなかった。

「被災地首長に聞く」

 東日本大震災の津波で岩手、宮城両県の沿岸部は壊滅的な被害を受けた。深い傷痕が残る中、再建に向けた懸命の取り組みが始まる。海とともに生きる多くの住民を抱えた自治体は震災をどう受け止め、どうまちづくりを進めるのか。被災地の首長に聞いた。

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