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慰安婦問題 エコノミスト記事

2007/05/08 11:53

 

The Economist 新着号の記事。この週刊誌は穏健公平で信頼性が高いが、慰安婦問題についてだけは、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどリベラル系偽善メディアと軌を一にしており、底が浅く一面的と思う。インテリ人士の信用度が高いだけに心配になる。先に同じテーマで、"Shame on you, Mr. Abe" とやり、さっそく「たかじんのそこまで言って委員会”で、かの小沢遼子が鬼の首をとったように、得々と言い募っていた。

反論したいが、残念ながら浅学非才、事実関係など知識があまりに不十分だ。そこで、できるだけ忠実な翻訳を試みて、諸賢のご参考に供することとする。

Quote

The Economist, May 5th – May 11th2007

 

不快な真実

事実は現れるもの ― より多くの事実が

 

歴史においては、政治においてと同様、戦いを注意して選ぶのが賢明だ。3月に日本の首相、安倍晋三、が行った発言で、戦時中の東アジアで、5万人から20万人の女性に売春宿、または“慰安所”、で働くことを強制したことについての帝国陸軍の役割を否定したように見えたことで、彼はアジアとさらに広範な諸国の犠牲者と政府からの批判の地雷原に着地することとなった。陸軍による強制 ― ただしもっとも広義の(そしてもっとも軽い)意味を除いて ― があったことを否定したことによって、彼は日本の同盟諸国を狼狽させた。

 売春宿に家畜のように集められた女性のほとんどは、朝鮮、中国台湾フィリピンインドネシアミャンマー(当時はビルマ)から来ていたが、他の国からの人たちもいた。アメリカでは、深甚な謝罪と適切な補償を求めるアメリカ下院の決議案に対する支持が増大している。日本自身が1995年に設置した、故意に非公式のものとされた基金は、受給者もほとんど出ないまま、3月に金庫を閉じた。

 4月27日に、ちょうどミスター安倍がワシントンDCで弁明しようとしていたとき、日本では最高裁が2組の補償請求 ― 性奴隷と強制労働に対しての ― を棄却した。その理由は、戦後日本が近隣諸国と締結した協定からそのような請求は除外されている、というものだった。しかし、最高裁はその判決で、日本兵が実際に2人の10代の中国人少女を拉致し性奴隷として働かせたことを、はっきりと記録に止めた。

 彼自身の党にいる一部の右翼たちとは違って、ミスター安倍は、1993年に当時の官房長官、河野洋平、が認めたこと ― すなわち、帝国陸軍は、戦時売春宿を設置し運営することに“直接または間接的に関与した” ― を自分も守ると言う。その談話ではまた、“多くの場合”、女性たちは騙され、あるいは強制されて集められ、そして“政府/軍の人員が直接募集に加わった”ことも認めている。

 ミスター安倍はしかしながら、兵士たちが犠牲者たちを“狩り立てた”との証言を“完全なでっち上げ”と呼んだ ― 女性たちが自らの体験を詳しく話しているにもかかわらず。狭義の、そして暴力を伴うという意味で女性たちが性奴隷労働をさせられたという“証拠はない”と彼は言った。

 しかし、アメリカの議会調査局の報告では、日本の軍人が売春宿を設置し運営したのみならず、時には女性たち、少女たちを力づくで拉致し、そこで働かせたとの他国からの証拠を列挙している。戦後、オランダの戦犯法廷は、何人もの日本人陸軍将校をそれらの犯罪で有罪と宣告した。一方、インドネシアにおいて、ヨーロッパ生まれ(ほとんどオランダ)の限定的な人数の女性たちと少女たちの不幸な経験について、1994年にオランダ政府が報告をまとめ、65名が“きわめて確実に”売春を強要されたと見なしている。日本政府は何年も前にこの報告を受け取っているから、知らないと主張することはできない。

 その報告では、最悪の、そしてもっとも組織的な軍による虐待は、1943年半ばから1944年半ばにかけて行われたと結論している。それが終了したのは、東京の本省から出張してジャワ島の収容所を訪れた一人の大佐がそのことを聞いたときだった。歴史において起こったことだ。悪い部分も、立派な部分もある。ミスター安倍には、正しく歴史を見つめる自信があるだろうか。

Unquote

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