栃煌山(右)に押し出しで敗れる琴奨菊=両国国技館で
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◇秋場所<11日目>
大関とりの関脇琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=は平幕栃煌山に一方的に押し出され、2敗目を喫した。平幕の臥牙丸(24)=北の湖=が大関把瑠都を送り出しで破って10勝目。勝ちっ放しの白鵬を1敗で臥牙丸、2敗で琴奨菊らが追う展開となった。
琴奨菊は平幕の栃煌山にあっという間に中に入られ、押し込まれた。少しも力を出せないままに土俵を割った。大関とりにとって痛すぎる1敗。引き揚げる花道では、特徴のある角張った顔がゆがんでいた。
風呂から上がり、座布団に座った途端に「ああ、くそー」という言葉が出た。「まわしをつかみたかった?」と問われると「うまくやられました」。平静を装ったが、胸中は悔しさでいっぱいだったはずだ。
前日は、中日・落合監督から拝借したという「やるべきことやるだけ。無理なことを考えても駄目ですから」という“語録”を使った。この日も「まあ、やるべきことはしっかりやらんと」。その上で「悪いところは自分で分かっている。それを修正して頑張らないとね」と話した。
まな弟子の敗戦に師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「ここへきてちょっと硬さが出たかな。右脇が甘かった? 今日は左を巻き替えにいったのがね。腰も高いし、おっつけは下からいかないと」と反省点を次々挙げた。「明日頑張らせます」と言ったが、格下の相手に取りこぼしの痛さを師匠も分かっている。大関とりの初体験だった先場所の名古屋では終盤に平幕に連敗。悪夢の二の舞は避けたいところだが…。
大関昇進の目安は3場所、33勝。技量審査10勝、名古屋が11勝でこの場所は12勝がノルマ。残り4日間、3勝1敗という勘定となる。ただ中村審判長(元関脇富士桜)は「平幕に完敗はダメ。今日のは痛いよ。これから横綱、大関だしね」
「誰と戦っても同じ1勝なんだから」と琴奨菊。12日目の相手は旋風を起こしている臥牙丸。「(作戦は)明日考えます」。厳しい戦いが続く。 (近藤昭和)
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