振り込め詐欺など養子縁組を悪用した事件が全国的に多発する中、東京都豊島区は二十一日、暴力団関係者による虚偽の縁組を防ぐ対策を盛り込んだ暴力団排除条例の骨子案を発表した。不審なケースは居住実態の調査や警察への照会・通報ができるとし、制定されれば全国初となる。高野之夫区長は「勇気を持って踏み込みたい」と話した。
区によると、現行法では虚偽の縁組を直接取り締まる規定はなく、自治体に独自の調査権はない。十月一日に東京都などで暴力団排除条例が施行されるが、これらの都道府県条例にも虚偽縁組の防止規定はない。
条例骨子案では、虚偽の養子縁組の禁止を明確化。届け出人が縁組を繰り返しているなど不審なケースは、警察に暴力団関係者かどうか照会し、暴力団関係者と確認されれば、住民基本台帳法に基づく調査を実施。住所地に住んでいないなど虚偽が判明した場合、区は住民票を無効とした上で、東京法務局に報告し、縁組の不受理につなげる。警察へも不正を通報する。
同区には養子縁組申請が年間三百件ほどある。昨年六月以降、虚偽の疑いで東京法務局へ照会したケースが三件あり、職員が不審点を尋ねたところ申請を取り下げたケースも十九件あった。
区は区民の意見を募るパブリックコメントを行い、条例案を十一月議会に提出、来年四月の施行を目指す。
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