政府は22日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産条約について関係省庁連絡会議を開き、「富士山」(山梨、静岡両県)と「武家の古都・鎌倉」(神奈川県鎌倉市など)を世界文化遺産として推薦することを決めた。9月末までに推薦書の暫定版を、来年2月1日までに正式版をユネスコに提出。来年夏から秋に専門家による現地調査が行われ、13年夏の世界遺産委員会で登録の可否が審議される。
推薦書暫定版の原案によると、富士山は山頂や登山道からなる山域、白糸ノ滝、三保松原など25資産で構成し、総面積は約2万ヘクタール。日本一の高さ(3776メートル)を誇る独立峰として信仰を集めた文化的伝統の証拠と位置づけ、葛飾北斎らの浮世絵など芸術作品との関連もアピールする。
「武家の古都・鎌倉」の名称は「Kamakura,Home of the SAMURAI」と英訳した。鶴岡八幡宮や鎌倉大仏など鎌倉、横浜、逗子3市にまたがる10資産で構成。12世紀末の日本で武家政権が樹立され、武家文化が生み出された証拠だとし、切り通しなどが造成された山稜(さんりょう)部と一体となった政権の所在地は珍しいとしている。富士山は自然遺産としての登録を目指したが03年に国内選考で落選し、07年に文化遺産として暫定一覧表(暫定リスト)に掲載され、鎌倉は92年に暫定リストに載った。【木村健二】
毎日新聞 2011年9月22日 11時54分(最終更新 9月22日 12時07分)