東京電力福島第一原発事故による大手メディアへの報道不信が極まっている。
それも当然のことだろう。ここまで一貫して「原発事故」を象徴とする事件・事故の真相の情報隠蔽に加担してしまっては、読者や視聴者にも気づかれるというものだ。
だからといって、筆者は、新聞・テレビを全否定するつもりはない。それはこれまでと同じ姿勢だ。
たとえば、東京新聞の社説や「こちら特報部」、あるいはNHKのストレートニュースなどのように、誠実な報道を繰り返している大手メディアも少なくない。
だが、それでも、読者や視聴者の立場からすれば、不誠実と思われる報道が続いている。それはまた、比較的気づかないような形でこっそりと報じられることが少なくない。きょうの読売新聞の次のベタ記事などまさしくその好例である。
一見何の変哲もないベタ記事の
“不誠実”な点とは
〈韓国、福島を除く被災3県への渡航制限を解除
【ソウル=中川孝之】韓国外交通商省は20日、東日本大震災で、福島、宮城、岩手、茨城の4県に出していた渡航制限について、21日から、福島県を除きすべて解除すると発表した。
同省は、福島を除く3県は、余震が減り福島第一原発事故の影響もほとんどない、と解除理由を説明している〉(2011年9月20日22時32分 読売新聞)
この小さな記事がなぜ不誠実なのか。それは、最初の前提となる情報が欠落しているからだ。