東京電力福島第一原発で、敷地内の建屋などにこれまでに流れ込んだ地下水の累積は約3万5千トンと見積もられることがわかった。大雨のシーズンを迎え、地下水の流入を抑えながら汚染水があふれ出すのも防ぐ微妙な水の管理が必要になる。
東電が汚染水を浄化して注水する循環注水冷却を始めた6月末時点で、1〜4号機の建屋と集中廃棄物処理施設の高濃度汚染水の量は約12万1千トンだった。3カ月間の浄化処理の後、本来なら約6万トンに減るはずだったが、実際には約9万8千トンが残っている。
東電はその差から、外から供給した冷却水を差し引いた約3万5千トンの大半は、建屋の亀裂などを通じて流入した地下水とみる。1日あたりの流入量は200〜500トンという。
地下水が流入するのは、地下水位が建屋内の汚染水位より高いためだ。汚染水を一気に減らすと、地下水位との差が広がり、地下水の流入量が増える。反対に差を縮めると、大雨などの際に雨水が流入して汚染水位が一気に上昇、地下水位を上回って放射能汚染水が外にあふれだす。
このため、水位の微妙な管理が必要になる。東電は、汚染水の水位を地下水位の下1メートル程度に維持しようと試み、同時に地下水をくみ上げるポンプも復旧させるという。
東電の松本純一・原子力・立地本部長代理は「地下水が流れ込むと処理する汚染水の量が増え、廃棄物も増える。流入量を減らすため、建屋の水位をある程度保ちながら水処理を進めていく」と話す。
東電は21日、同原発の高濃度放射能汚染水浄化装置の直近1週間(9月14日〜20日)の稼働率は46.0%だったと発表した。前週に比べて約37ポイント低下。約2日、装置を止めたことや、本来の約6割の処理量で稼働させているため。(今直也)