東京電力は21日、福島第1原子力発電所のタービン建屋などにたまった高濃度汚染水の全量処理を先送りする方針を明らかにした。汚染水に地下水が大量に流れ込んでいることがわかったためで、当面の処理は現状の水位を維持する程度にとどめる。原子炉を冷温停止に持ち込んだとしても、その後の中長期的な事故収束に向けた計画に影響が出そうだ。
東電は一時期、最大で敷地内に12万トンあった汚染水が海に漏れ出すのを防ぐため、タービン建屋地下の水位を地下水より1メートル低い海抜3メートルまで下げた。ただ、1日200~500トンの地下水が、建屋地下の壁のひび割れなどから流入していることが判明。年内を目標に全量処理する計画の実現が難しくなった。
来年1月以降の将来的な廃炉に向けた中長期的な事故収束計画では、汚染水を全量処理した後に、汚染水が漏れている損傷部を修理して格納容器を水で満たす方針だった。建屋などに汚染水がたまったままではこうした作業への着手が難しく、計画の見直しを迫られることになる。
東京電力、福島第1原子力発電所、地下水流入
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