失業率改善も雇用の質が悪化!?
数字の上では就業率や雇用率が改善するも、製造業の雇用は昨年に比べむしろ減少
今年8月に大学を卒業したイ・ジョンミンさんは「雇用状況が改善している」という政府の発表が出るたびに、違和感を感じるという。在学中に就職先が決まらず、今もさまざまな企業に願書を出しているが、採用の通知を受けたことはないからだ。イさんは工学部出身のため、専攻を生かしてメーカーへの就職を目指していたが、希望する企業から採用計画はないと言われた。
数字の上では、雇用状況が引き続き改善している。統計庁は「8月の雇用動向」の中で「8月の就業者数は2449万5000人で、1年前に比べて49万人増加した」と21日発表した。これは1年前に比べ、仕事をしている人の数が49万人増えたという意味で、2004年9月に50万8000人増を記録してから、増加幅としては最大を記録した。
就業者の増加に伴い、それに関連する指標も同じように改善している。15歳から64歳の雇用率は59.6%で、1年前に比べて0.5%上昇した。求職活動をしているが仕事に就けない人の割合を示す失業率は3.0%で、これは1年前に比べて0.3%減少した。若年失業率(15歳から29歳)は6.3%で、これも1年前(7.0%)に比べると大きく改善した。
これらの状況について政府は非常に気をよくしているようだ。企画財政部(省に相当)の朴宰完(パク・チェワン)長官は21日に行われた経済政策調整会議で「雇用の増加は単なるサプライズではなく、ビッグなサプライズと言ってもよいくらいだ」と述べた。
ところが就職を準備している大学生たちは、このような就職状況の改善をまったく実感できていない。8月に入ると、製造業の雇用は1年前に比べて2万7000も減少するなど、雇用の質に問題がある。サービス業に比べて全体的に質がよいとされる製造業の雇用が減少したのは、20カ月ぶりのことだ。今後、世界的な金融不安が実体経済にも影響を及ぼすようになれば、このような状況はさらに深刻化するかもしれない。
その上、失業率が改善しているのは、統計上のことでしかない可能性もある。8月には雨が多かったため、建設業界で日雇い労働者などが最初から仕事をあきらめ、これが失業率を押し下げたことがすでに分かっている。求職の意思がなければ、失業率を計算する際、求職者の数には含まれないからだ。実際の数字で見ても、臨時職や日雇いは1年前に比べて9万7000人も減少している。
一方、自営業者の数は久しぶりに増加に転じ、1年前に比べ5万3000人増の568万人となった。自営業者が増加に転じたのは、2006年4月以来、5年ぶりのことだ。企画財政部の関係者は「これまで自営業者があまりにも多かったことから自然に淘汰され、数字の上では減少を続けてきた。自営業者が再び増加に転じたのは、このような自然調整が終わったことを意味しているのかもしれない」と述べた。
パク・ユヨン記者