深夜未明にFOMCの声明が発表され、追加緩和策として、長期国債の保有比率を高める手法である「ツイスト・オペ」を導入、長期金利の一段の低下を促すことを発表した。
だが、皮肉にも、NY株は-283ドルの暴落となった。すでに市場は織り込み済みで失望売りが終盤に加速したと報じられている。喫緊で欧州のソブリンリスクが高まっており、FOMCに一段の追加緩和を期待していたのが裏切られた格好となった。
しかし、NY株の暴落はそれだけが要因でない。
ムーディーズが、バンカメ、シティ、ウェルズ・ファーゴの格下げを発表していた。これにより金融株を主導に売りを加速させた。
すでに欧州のディスクポージャーを膨大に抱えるシティの信用リスク懸念が増大していたところでの格下げ報道である。
バンカメは、不動産関連債権の焦げ付きが一段と悪化しているようだ。住宅市場の更なる低迷を受け、ローン債権者の不履行が増加の一途をたどっており、
住宅市場は10年間は回復しないという報道も流れている。
バンカメ、シティらの米銀大手の破綻リスクが増大しているわけだが、今回の格下げ理由の中でムーディーズが指摘しているのは、金融危機が生じた場合、政府は救済しないためリスクが増大しているということだ。
リーマン破綻時には、"大きすぎてつぶせない"という論法がまかり通ったが、今や救済できないほど政府の財政は悪化しているということである。
一端、危機が生じたら、たとえ大手であっても見捨てるということであるから、これまで以上に破綻の確率は高いということになる。
バンカメ、シティばかりではない。
昨夜のゴールドマン株は4.75%安の97.86ドルとなり、09年3月以来、100ドルを割り込んだのだ。
訴訟問題や金融規制改革法などによりゴールドマンは相当なダメージを受けている。
今回の欧州危機が中心に報じられているが、米銀のリスクも増大しており、その中でも、実はゴールドマンが、あまり名が挙がっていない分、最も危ないポジションにいる恐れがあるのだ。
現在、米銀第5位の資産規模をもつゴールドマンは、かつてのリーマン・ブラザーズのように、今度は"手頃な生け贄"にされる可能性は否定しきれない。
金融マフィアらの自浄作用とも粛正ともいえる暗闘が行われているようである...。
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