'11/9/22
下水大容量化進まず冠水続出
広島市の住宅街の道路などで冠水が相次いでいる。8月以降、東区戸坂地区や中区西川口町などで住宅の浸水被害も発生した。1970年ごろから整備された下水管の想定排水量を、短時間で局地的に降る雨が上回っているのが要因の一つ。市は中心部から順次、基準を引き上げた管の整備を進めるが、膨大な時間と費用を伴うため追いついていない。
台風12号が接近した9月1日、東区戸坂地区では住宅地の道路が最大約70センチ冠水。床上浸水4棟、床下浸水9棟の被害が出た。
8月21日の大雨では中区西川口町周辺で会社事務所や民家が浸水。西区三篠地区周辺でも8、9月の2回、冠水した。市下水道局は「いずれも周囲に比べて低い所。下水管の排水が追いつかなかった」とみる。
市下水道局によると、管は70年ごろから、過去のデータを基に「5年に1度」降るとされる時間雨量46ミリを想定して整備された。他の政令指定都市でも同様の想定が主流という。
一方で9月1日、戸坂地区に近い東区牛田早稲田の雨量計は、午後3時〜4時の1時間で56ミリを観測。特に3時半〜4時の30分は45ミリで、1時間換算で90ミリの雨が降るなど、想定を大きく上回る雨量を記録した。
都市型冠水の多発を受け、市は90年代以降、中心部のデルタ地域から「10年に1度」の53ミリを想定した管の整備を進めている。
中区富士見町―南千田東町では全長約2・2キロで整備。しかしこれには約15年、事業費約110億円を要した。ほか中、西、南区でも着手したものの、完了時期は未定。周辺部については予算がつくかどうかさえ分からない状態だ。
【写真説明】激しい雨で冠水した道路で自転車を押す人(1日、広島市東区戸坂山崎町)