きょうのコラム「時鐘」 2011年9月22日

 「もう半分、まだ半分」という例えがある。同じ半分でも、もう半分しかないと思えば心細いが、まだ半分も残っていると考えれば余裕が生まれる

毎年の彼岸のころに感ずる気分でもある。昼が短くなったと思うか、まだ1日の半分もの長い昼があると考えるか。人それぞれだが、その年の体験によっても違うだろう。天災続きの今年は「まだ大丈夫」ではなくて「もう備えよう」の心構えが重要だ

「まだ」と思う心が余裕に転化できればいい。だが、面倒なことは先送りする怠け心が「まだ」の中にはある。政治が指導力を発揮せずに「物事を先送り」することを海外諸国は「日本化する」と表現していると紹介したのは、野田首相である

課題先送りの結果、これまで積み上げてきた「国家の信用」が危機にひんしていると、先の所信表明演説で述べた。その野田さんが世界の要人と顔を合わす初の国際舞台に立った。民主党政権2年でもう3人目となる首相は、どう受けとめられるだろう

日本には「もう後がない」のか、この国は「まだ大丈夫」なのか。台風で大荒れの列島から厳しい目が注がれている。