われわれは、日本の政治についてすでに二つの共通認識を持っている。
一つは、今の日本が大きな転換期に差し掛かっている、ということだ。かつて、どの国も経験したことのないような少子高齢化、人口減少が、経済の成長力を弱め、現行の社会保障制度に持続不可能の赤ランプを点灯させている。20年前のバブル崩壊後、事実上民間の負債を肩代わりしてきた財政もとうとう累積赤字額が1000兆円となる。これもまたグローバルマーケットから警告(国債の格下げ)を受けている。
外交・安保の周辺環境も様変わりだ。米の突出したパワーがたそがれ始め、中国が台頭、力の均衡をどう維持・管理するか、かつてなく日本の役割が注目されている。
二つ目は、これらの問題はいずれも政治でしか解決できない、との共通認識だ。成長戦略から人口対策、増税、安保に至るまでのコンセンサス作り、財源手当て。すべては、民主主義のルールに従って国会で議論し法制化することでしか実現できない。
となれば、これらの問題解決をどう政治にやらせるか、という三つ目の共通認識作りこそ、重要なのではないか。まずは、時間を与えることだ。民主主義には手続きと熟議が欠かせない。だからこそ決まったものに価値がある。衆院議員任期の4年間で何ができるのか、を一つの目安にしたい。
次に難しい注文だが、政治家をもっと大切にできないものか。国家国益を背負って国民に奉仕するこの職業が軽視されてはいないか。例えば褒めてみたらどうだろうか。ご苦労さん、という声掛けからでもいい。政治家を褒めてその気にさせて本来の力を倍発揮させる。そのくらいのパワーアップがなければとても解決できない難問ばかりだ。自分たちの幸せのため政治をどう使うか。賢い戦略がほしい。
毎日新聞 2011年9月22日 0時09分
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