勉強にスポーツにと生徒たちが若いエネルギーを発散させた秋は瞬く間に終わりを告げ、冬支度が始まりました。インフルエンザに悩まされながらも汗と涙のドラマがありました。
体 育 祭:本校の体育祭の生徒席はテント屋根のついた観覧席につくります。そこからグラウンドを見下ろすようにして競技を見ることができます。応援合戦の時間帯には保護者にも開放して生徒と一緒に並んで見て貰っています。また、昨年からはPTAの皆さんが生徒へスポーツドリンクのサービスをしています。自分の親には素直に言えない「ありがとう」の言葉がここでは自然に言えるようです。「ありがとう」と言える人に育っていることを嬉しく思います。

文 化 祭:例年2日間開催し、1日は一般の方々にも公開していたのですが、今年はインフルエンザのため保護者以外の外来者をお断りし1日開催となりました。文化祭のクラス出し物は厳しい書類審査があり、それぞれに趣向を凝らした企画書が提出されます。今年は舞台発表に多くの希望が集中し、生徒の投票で決定しました。学年が上がるに連れてチームワークもよくなり、よい作品に仕上がっていきます。「多くの人に見てもらいたい。」という気持ちが作品の質を高め、完成までのプロセスが高い達成感と自信につながります。高校生活のかけがえのない貴重な体験を通して生徒はたくましくなっているのを実感できます。

国際交流:3 年生選択授業では卒業生で国連職員の方に英語による講演をしていただきました。本校生徒がいつか国際社会で活躍し貢献してくれることを期待しています。10月にはオーストラリアのバンクスタウンの高校生を迎えました。今回のテーマは音楽交流と言うことで相互に歌や演奏を披露して楽しいひと時を過ごしました。言葉の壁を楽々と乗り越えて交流を楽しむ生徒の姿を見ているとこちらまで幸せな気分になります。海外の高校生との交流を通して、生徒は英語活用力を高めています。

進路学習:1 年生は学部分野別の講演会、2年生は大学の先生による模擬授業を受けました。大学の先生に鋭い質問をするなど頼もしい一面を披露してくれました。また、1年生はバスを使って京都の大学訪問を行いました。5月に予定していた遠足が中止になっていたので、ちょっとした遠足気分になったかもしれません。
今年も教師をめざす生徒を対象に近隣の小学校でインターンシップを行いました。本物の先生として教壇に立つ日も近いことでしょう。
自分の適性を見極め、夢を膨らませ、勉強への動機付けを高めていくことを期待しています。

授 業:10月中旬から教室に丸椅子を持ち込んで全先生方の授業を受けてきました。チャイムの鳴る前の教室にはすでに担当の先生がおられ、生徒は授業の準備や小テストのための勉強をしています。そしてチャイムと同時に授業が始まり、先生の声だけが教室に響き渡っています。先生と生徒が一緒になって緊張感のある授業を作り上げているように思います。
国語では生徒による詩の朗読や作中人物への共感や批判など生徒の声を聞くことができました。社会では熱のこもった話術に思わず聞き入ってしまいました。数学は昔の記憶をたどりつつ問題演習に取り組みました。理科では視聴覚機器や目でみる教材を活用して授業が行われていました。英語は分刻みの展開で授業が進み、先生の問いかけには挙手して答えています。音楽の授業では生徒は立って授業を受け、短時間で盛りだくさんの内容ですが、先生と生徒の息がぴったり合っていました。家庭科では地域の方に来ていただき小刀を使って竹とんぼやマイ箸を作っていました。体育はチャイムの前に授業が始まり、生徒は黙々と動いています。どの種目でも経験のある生徒が仲間をよくサポートしています。
授業であれ部活動であれ、生徒を見ていると元気がでてきます。
文 化 部:理科同好会の総合科学科1年生榮君と橋本君が第6回化学コンテストにおいて大阪市立大学長賞を受賞しました。今年のテーマは「中性KI法による光化学オキシダント濃度の測定装置の製作」でした。市販のセンサーを使ってオゾンの大気中濃度を測定する装置を作りました。発表内容のレベルの高さも感心したのですが、それ以上に1年生ながら見事なプレゼンテーションでした。原稿を暗記し、冒頭のつかみの場面では大阪っ子らしい突っ込み漫才を入れて全国の高校生にアピールしました。昨年度は水質汚濁の測定器を作って文部科学大臣賞をいただき、2年連続の受賞となりました。環境問題に取り組んで行く生徒が育っていることに学校としての誇りを感じます。

運 動 部: サッカー部とラグビー部はウィンターカップに向けた試合の前日にエール交換をするのが恒例となっています。また、サッカーの試合に水泳部の生徒が応援に来てくれるなどクラブ間のつながりも深いようです。
3年生が秋まで頑張ってきたサッカー部、ラグビー部は激戦・善戦の末、全国への夢半ばにして敗退してしまいました。試合翌日の3年生はどこか寂しげでしたが、負けてこそ学べることがたくさんあります。多くの収穫を得て次へと大きく羽ばたくことだと思います。
土 曜 日:土曜の午前をスタディタイムと位置づけて、月曜から金曜の学習を振り返り、学力の増強をめざして「千里若竹セミナー」を開講しました。学年ごとの目標に応じて自学自習能力の向上をめざします。
午後はクラブタイムとしてメリハリのある土曜日を過ごしてほしいと願っています。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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2009年夏の贈り物
短い夏休みが終わり、2年生と3年生は19日から、1年生は24日から授業が始まりました。例年と異なり熱中症とインフルエンザを同時に心配した夏休みでしたが、予定通り元気な顔を見ることができました。

今年の夏休みも生徒たちはそれぞれのところで自分を磨いてきました。
水泳部の生徒は第59回まほろばインターハイへ4種目(400mリレー・100m背泳ぎ・200m個人メドレー・1500m自由形)に出場し、大舞台で自己記録を更新してきました。選手の頑張りに心から拍手を送りたいと思います。大阪大会、近畿大会そしてインターハイを通して、選手個人の頑張りには目を見張るものがありましたが、同時にこの活躍の裏には、わずかなタイムの差で悔し涙を流したであろうチームメイトの支えがありました。また、当日には60名を越える他の運動部員の応援もありました。8月24日にはインターハイを終えた6名の選手が報告に来て、応援してくれた人への感謝、次年度への抱負などを語ってくれました。一人一人の言葉に技術だけではない一まわり大きな成長を感じました。
さらに24日の朝刊には本校のフォークソング部が第30回近畿地区高校・中学校軽音楽系クラブコンテスト「We are Sneaker Ages」で優秀校20校に選ばれ、年末のグランプリ大会に出場すると報じられていました。本校のフォークソング部は平成15年にはグランプリ大会で優勝しています。今回は久しぶりの出場になりますが、精一杯楽しんでほしいと思います。また、同じ日に陸上部からは400mリレーでの近畿大会出場の報告がありました。そして、ラグビー部・サッカー部・男子バスケットボール部の3年生は全国をかけて最後の仕上げに入っています。それぞれに頑張った分だけ結果は後からついてくることだと思います。

一方、競技以外で夏休みに活躍した生徒たちがいます。理科部の生徒は今年のサマースクール(体験授業)でアシスタント・ティーチャーとして中学生を指導しました。イカの解剖に手間取っていた中学生は高校生の助けを借りて無事解剖することが出来ました。同じく演劇部の生徒は発声や早口言葉の見本を見せながら中学生をサポートしてくれました。
1年生は家庭科の授業の一環として、地域のスーパーマーケットで三色栄養の理解やなにわの伝統野菜「鳥飼茄子」「服部越瓜」の紹介など手作りのグッズを使って一人ひとりに説明しました。日頃、話す機会のない主婦や年配の方、小さな子どもにも汗をかきながら一生懸命説明する姿は親でなくてもハラハラ、ドキドキしましたが、頼もしくも思えました。
夏休みを終え、生徒は「成長」という贈り物を持って登校してきました。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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さまざまな学び
7月には授業以外にも様々な学びがあります。
総合科学科1年生は15日、毎年恒例となっている神戸大学海事科学研究科の練習船「深江丸」に乗船して講義と各種模擬ゼミを受講しました。波が高くて心配したのですが、元気に日焼けをして帰ってきました。この成果は「科学探究基礎」の授業の中で、神戸大学の学生にアドバイスを受けながらまとめて発表していきます。若い研究者の姿を見て自分の未来を重ねていく生徒もいます。
3年生は22日11時5分、授業の休み時間を変更して日食の観測を行いました。厚い雲の切れ目から顔を出した三日月のような太陽に大きな歓声が起こりました。26年後の日食には、この日のことを高校時代の思い出のひとつとして懐かしく思い出してくれるのではないでしょうか。観測のために理科の先生が作ってくれた観測めがねのことも一緒に思い出してほしいと思います。

水泳部は23日から25日まで京都アクアリーナで行われた近畿大会に出場しました。私学の強豪チームにも気後れすることなく力を発揮し、3種目において8月に行われる全国インターハイの出場権を得ました。陸上競技でインターハイを目指す高校生を主人公にした「一瞬の風になれ」という小説がありますが、水泳の400mリレーではまさに「一瞬の水になれ」といった感じでした。8月のインターハイでは各自の力を出し切った泳ぎを楽しみにしています。

国際交流委員やPEC・茶道・剣道部の生徒達はテネシー州とアメリカ東海岸から2つの団体を迎えて英語による日本紹介や書道、剣道、茶道、折り紙を紹介しました。短い時間でもすぐに打ち解けていく高校生にグローバルな未来を感じます。
そして中学生は7月から8月にかけて千里サマースクールで17講座から関心のある講座を選んで受講しています。高校の施設を使って高校の授業を体験することで、高い目標を持って入学してくれることを期待しています。
夏休みには日頃できない様々な学びにチャレンジし、心身ともにたくましくなって新学期を迎えてほしいものです。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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楷の木
正門横にある通用門を真っ直ぐ上がってくると右手に「楷(カイ)」の木と碑を目にすることができます。碑には「孔子 ゆかりの木 古来 学問所に植えられた」と

記され、本校の創立30周年を記念して第九代校長が植樹されました。楷の木は2500年前に孔子の弟子によって植えられ、日本には大正4年(1915年)、農商務省林業試験場の初代場長であった白沢保美博士が孔子の墓所から種を採取し、育苗後、国内の孔子や儒学にゆかりのある学校に配ったそうです。中国ではかつて科挙の合格祈願木とされ、「学問の木」と呼ばれる楷の木は日本では非常に少ない木として珍重されています。ここに「楷の木」を選ばれた先代の心が伝わってくるようです。
学問所としての千里高校の建学の精神は国際・科学高校の理念へと引き継がれています。どの時代においても時々の教職員は熱い理想を持って教育に取り組み、生徒は師を信頼し、真摯に勉学に取り組んできたからこそ今日の千里高校があるのだと思います。これからも千里の学びの木として多くの生徒や教職員を見守ってくれることと思います。
さて、本校の今年の目標は@生徒の学習・学問に対する興味・関心を高める質の高い授業を提供し、自学自習の力を育成するA学校行事や部活動等、生徒が主体的に参加できる体験的活動を通して、自主・自律・創造の精神を涵養し、知徳体バランスのとれた人間形成の基礎を築くBたくましく時代を切り拓く「生きる力」を育み、地球規模で物事を考え、

自分の考えを自分の言葉で発信し、国際社会や地域社会に活躍・貢献できる人材を育成する等です。たくさんの経験と小さな失敗を繰り返して骨太な人として成長するよう教職員一同で取り組んでいきたいと思います。
6月には本校生以外にも千里高校で勉強した人達がいます。17名の教育実習生は教師をめざして2週間から3週間奮闘しました。36名の吹田市立竹見台中学の3年生が高校の授業や部活動を体験しました。「共に学びあいましょう」のメッセージが示すように、教育実習生は先生になりたいという思いを強くして大学へ帰りました。中学生は高校での学びに胸膨らませて受検に備えてくれるだろうと思います。そして、本校の生徒は大学生にも中学生にも自分を重ねて明日へ向かっていくことでしょう。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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いつもと違った五月
2009年5月は1年分にも匹敵するような重さとめまぐるしさをもたらせ、今、過ぎていこうとしています。
ゴールデンウィークは部活動の公式戦やその練習のため生徒も先生も輝いていました。それぞれ高い目標を掲げて公式戦に臨み、目標を達成できた部もあれば、志なかばでまさかの敗退をした部もありました。勝つことは素晴らしいことですが、人生においては負けて多くのことを学びます。アメリカ大リーグにいどみ通算二千試合以上に出場したヤンキースの松井秀喜選手は高校生の時、センバツの準々決勝で平凡な三塁ゴロをエラーして負けてしまった体験から「野球人生を振り返ると、失敗から始まることが多かった。失敗をいかにエネルギーにするか。昔から倒れても起き上がる時にはより強くなるんだという気持ちを持っています」と新聞記事に書かいておられました。本校の生徒は部活動を通して、全力を尽くすこと、苦しいときこそ頑張ること、チームワークの大切さを学んでいます。

連休明けの8日夕刻には、理科研究同好会の部員9名と教員11名が土星とその衛星タイタンを観測しました。生徒とともに目を輝かせて望遠鏡をのぞく教師の姿に触発されて、生徒の知的好奇心は更に高まるだろうと確信した楽しいひと時でした。
そして、その余韻が冷めないうちに新型インフルエンザの感染拡大と府立高校全校休業の措置がとられました。この間、生徒には不自由な思いをさせ、保護者の皆様にもご心配をおかけすることになりましたが、本校においては感染者の発生もなく、本日25日、学校に生徒の元気な声が戻ってきました。臨時休業中、自宅待機に協力してくれた生徒の皆さんと見守っていただいた保護者の皆様には心から感謝いたします。しかし、依然として多くの感染者が確認されていますので、今後とも健康管理には細心の注意を払っていかなければなりません。また、欠けた授業等は早急に来月から補完してまいります。生徒の皆さんには新たな負担をかけることになりますが、「学校へ行ける」「 授業がある」「友達に会える」「クラブができる」この幸せをかみしめてほしいと思います。さあ、失った1週間を取り戻しましょう。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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新年度を迎えて
今年も通学路の桜は満開に咲き、生徒の入学、進級を祝ってくれています。8日には3学年揃っての始業式を行いました。新しい学年を迎え、生徒の心には夢や希望そして今年の計画で埋め尽くされていることと思います。

本校はたくましく時代を切り拓く「生きる力」を育み、地球規模で物事を考え、自分の考えを自分の言葉で発信できる力を伸ばし、国際社会や地域社会に活躍・貢献できる人材の育成をめざし、授業はもちろん学校行事や部活動にも力を注いでいます。
本校の校歌は3年間の生徒の成長をうたっています。1番は1年生の学びへの心構えを、2番は2年間の人とのつながりを、3番は3年間の成長のあかしです。生徒は日々の教育活動のなかでしっかりと力を蓄え、それぞれの自己実現、進路実現を果たし本校を巣立っていきます。
今日、満開の見事な桜もあと数日で花を散らせ緑の葉桜になります。季節の進行に負けないよう、一人一人の時間を未来へすすめてくれることを願っています。1年後2年後にはそれぞれの美しい花が咲くことでしょう。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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1年の締めくくり
3月19日、2日間にわたり行われた千里フェスタを終えて1年間の学習を締めくくりました。14会場に分散し、2日間で221の学習成果発表を行いました。司会進行、レポーターなどすべて生徒が行い、いずれの会場でも静粛に熱心に発表を聞いていました。そんな生徒たちを応援し見守るかのように、司会席には理科の先生と技師さんが育てた一輪の花が飾られていました。生徒は勉強や部活動に追われ忙しい1年を過ごしましたが、少し背伸びをしながら頑張りました。そんな生徒を叱咤激励しながら伸ばしてくれた先生方へ感謝・感謝の1年でした。
オープニング合唱 体育館での科学科生徒発表
Student Reportersによる速報
図書館でのディベート
総合科学科講義室での発表
視聴覚教室での発表
ポスター発表
探究学習振り返り
短歌
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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沈丁花の香りとともに
12月から3月までの寒い時期を耐えた沈丁花の花芽が咲き始め、優しい香りを運んでくる季節となった3月5日、本校での3年間の学業を終えた生徒の卒業式を行いました。3年生は1年間を通し学校の自習室や図書室でよく勉強をしていました。学年末考査を終えた後も朝早くから登校し、各自の教室でまとまって一心不乱に受験勉強に取り組んでいました。職員室では二次対策の個別指導を受けている生徒、少人数の直前講習を受けている生徒など、受験前日まで本校の教員を頼りとして学ぶ生徒とその心に応える教員の姿がありました。
1・2年生は学年末考査を終えて12日から始まる「千里フェスタ」の仕上げに入っています。「千里フェスタ」は1年生の「探究基礎・科学探究基礎」、2年生の「探究・科学探究」の授業で行った探究活動の学習成果発表会です。今年の基調講演は総合科学科の2年生美馬圭吾君による「可視および紫外発光ダイオードを用いた簡易比色計の製作〜南千里周辺の水質調査〜」です。文部科学大臣賞を獲得したプレゼンテーションなので大いに楽しみです。19日には一般公開しますので、本校の学習の一端を見ていただきたいと考えています。
3年生の受験指導や1・2年生の授業と並行しながら2月25日前期入学者選抜を行いました。3月3日冷たい雨の降りしきるなかの合格者発表、そして7日には合格者説明会を開催し高校生活への準備をすすめています。教頭先生の「前期で合格した人はこれから後期試験を受ける仲間の支えとなりなさい。」との言葉どおり、千里高校はいかなる時代にあっても、心優しく他者を思いやることのできる人を育てていきたいと思います。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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己丑(つちのとうし)の年
今年は己丑(つちのとうし)の年にあたります。様々な意味があるようですが、今年も安全で安心な学校生活を送ることができるよう願っています。
3年生は各自の進路実現に向けて最終の調整に入っています。1,2年生は実力テスト、模擬テストが続き1年後2年後を見据えた準備に入りました。
1月最終の土曜と日曜には異なるスピーチ大会が開催されました。一つは外国にルールを持ち日本の学校で学ぶ生徒の母語によるスピーチ大会です。日本語訳がないと意味は分からなかったのですが、発表者の心からの叫びは意味が通じなくても聞く人の心を揺さぶるものがありました。日本で生まれ育った生徒には計り知れない厳しい経験を乗り越えてきた彼らの強さや自信は、ともに学ぶ日本の生徒たちにも勇気を与えるものであったと思います。もう一つは日本語を母語とする生徒が英語による暗唱やスピーチを行いました。表情豊かに英語を使いこなす生徒達からは日ごろの授業の成果を感じました。二つの大会には本校からは4名の生徒が参加しました。発表の内容、豊かな感性に感動しました。本校では生徒のプレゼンテーション力の育成、英語で交渉することのできる英語力の育成などに取り組んでいますが、その成果の一端を見ることができた週末でした。そしてどちらの大会にも生徒を支え、温かく見守っている先生の姿がありました。
外に目を向けるとラグビー部、サッカー部、バスケットボール部が新人大会を戦いました。大勢の卒業生や保護者が寒いなか応援に来てくれました。
生徒は多くの人に支えられて育っています。そしてそのことに感謝の気持ちを言葉で伝えることのできる人に育っています。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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学びの季節
総合科学科の2年生美馬圭吾君が「第5回高校化学グランドコンテスト」において「可視および紫外発光ダイオードを用いた簡易比色計の製作」を発表し、最高の賞である文部科学大臣賞を獲得しました。この研究は安価でコンパクトにつくることのできる簡易比色計を製作し、河川等に含まれるリン酸イオン、亜硝酸イオン、ケイ酸態ケイ素などの濃度を測定し水質調査に取り組むといったものです。この装置を広め環境調査を身近なものとして環境問題に興味や関心を持ってもらいたいというのが美馬君の主張でした。簡易比色計のできばえも素晴らしかったのですが、環境問題に取り組む彼の夢も素晴らしいものです。このような若者が多く育ってくれることが地球の未来にもつながると思えました。
11月27日から12月4日まで2団に分かれてオーストラリアへ研修旅行に行きました。2日間のホームスティは生徒たちにとってかなりのプレッシャーだったと思いますが、体験報告会ではやり遂げた自信をみなぎらせていたように思います。本校の研修旅行は学校で学んだ英語力を生かす場面であり、国際的な視点に立って物事を考え判断する場でもあります。生活様式、食生活の違いなど身を持って体験することで、どこの国においても他者との違いを認め、より良い関係を構築できる大人へと一歩近づいてくれたことを確信しました。

大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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体育祭・文化祭の先にあるもの
残暑が残る中、9月は生徒にとって試練の時となります。体育祭、文化祭といった生徒の心に残る大きな学校行事とその合間を縫うように各運動部の公式戦がはいります。生徒たちは適材適所に役割を分担して行事も部活動も頑張らなくてはなりません。
文化祭では3年生は高校最後の思い出として演劇やミュージカルに取り組むクラスが多くなります。夏休みから準備にとりかかり素晴らしい作品に仕上げていきます。生徒たちの達成感は次の学びにむけて大きな自信となっているように思います。
専門学習の分野では、総合科学科の2年生が「第5回高校化学グランドコンテスト」の第1次予選を突破し、全国10校のなかに残りました。10月中旬には日本代表の4人のなかにも選ばれ韓国で研究発表をしました。
また、将来教職を目指す生徒は10月7日から12日にかけて小学校や幼稚園へインターンシップに出かけました。教室に入らせていただき園児・児童の学習補助や先生方の事務手伝いなどをさせていただきます。こうした体験を通して、将来の先生としての資質を見極め、高校での学びのモティベーションを高めていきます。
校長は後期に入り先生方の授業を見学しています。家庭科では、「福祉について考える」というテーマで高校生が近隣の小学生に車椅子体験や聴覚・視覚障害体験をさせることを通して異世代交流をはかりながら、福祉問題に取り組みました。あわせて小学生に教えるということの大変さも体験したようでした。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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サマースクール
短い夏休みが終わり19日から授業が始まりました。生徒たちの夏休みは夏期講習や部活動の合宿、文化祭の準備など日頃の授業とは異なる活動を行います。そこには授業だけでは学べない『プラスα』の学びがありました。部活動は練習を通して仲間の大切さや他者への感謝の気持ちを教えています。文化祭の準備では共同作業を通して、表現力、企画力、統率力を高めています。生徒はこうした貴重な体験を積み重ねて社会貢献できる大人になっていきます。
一方、先生方は本校生徒を対象とした講習に加えて、中学生を対象として高校の授業を体験してもらおうと「千里サマースクール」(画像は
こちらです)を開講しました。7月24日から8月8日まで全部で18講座に540人の参加申込がありました。なかには一人で7講座を受講し、すっかり顔なじみになった中学生もいます。目を輝かせて実験・実習に取り組んでいる中学生は知ることの喜びや感動を体験し、高校での学習の動機付けになったことを確信しました。玉のような汗を拭きながら中学生に難しいことを分かりやすく工夫して説明している先生方の姿にも教師としての誇りと尊厳を感じました。
学校は真摯に学ぶ生徒と教える先生の共同作業の場であるとともに未来を創造する場です。千里高校では未来を担うたくましい生徒の育成に努めています。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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熱い夏
前期中間考査が終わり夏休みを前に様々な取り組みがありました。そのなかでも大学説明会は生徒の希望が多い大学の先生に来ていただき大学での学びや心構えなどを聞かせていただきます。3年生はもちろんですが1年生の参加も多く見られ関心の高さが伺われました。本校では理系と文系の二つの学科があり、生徒は入学時にどちらかを選んで受験します。しかし、入学後は普通科の高校で学ぶ全ての科目を勉強したうえに、さらに理系か文系の科目を勉強することになります。基礎基本の学力をしっかり身につけさせて、希望の進路を実現できるよう指導していきます。
本校では3つの柱を大切に考えています。一つは授業を中心とした教科学習、一つは学校行事や部活動などの自主活動、一つは生活指導です。本校の自慢は生徒が元気に挨拶すること、遅刻をしないことがあります。そして、学校行事や部活動にも熱心に取り組むことです。教科学習以外の分野においても全力で取り組む姿勢が骨太でたくましい生徒の育成に役立っていると思います。

7月14日(月)授業が終わった放課後に本校と隣接している吹田市所有の竹林で、体育祭・文化祭で使う竹取りを行いました。市の職員のご指導のもと、生徒は使い慣れないノコギリやナタを使ってたくさんの竹を切り出しました。年中行事として行われていますが
校内の除草と同様に残していきたい本校の取り組みの一つです。

7月16日(水)総合科学科の1年生は神戸大学海事科学研究科の練習船「深江丸」に乗船して講義と各種模擬ゼミを受講しました。同じ日、寝屋川球場で高校野球夏の大会1回戦に臨みました。緊張感のある好ゲームでしたが3―1で敗退してしまいました。「甲子園
の夢」はかないませんでしたが「行けたらいいな」から「絶対行く」という強い意志が夢を実現させるエネルギーの源であることを全校集会で伝えました。

7月18日(金)・23日(水)にはアメリカから2組の高校生の団体を迎えました。生徒たちは英語の授業で身につけた語学力を生かして積極的に交流を図っています。英語力の向上とともに、異なる言語や文化を持つ人々との相互理解を深め将来にわたる友好関係を
築いてもらいたいと思います。
競泳の近畿大会では本校水泳部の1年生が出場し、200M個人メドレーで自己最高記録を出しました。残念ながらインターハイ出場には至りませんでしたが、確かな手ごたえを感じて帰ってきました。100M背泳ではジュニアオリンピックへの出場資格も得ています。
また、国際文化科で2年生から開講している第2外国語のスペイン語を受講している3年生がスペイン語弁論大会で「大阪ヨーロッパ映画祭賞」を獲得しました。
生徒たちはそれぞれに『熱い夏』を過ごしています。生徒たちの『熱い夏』を教職員一同で支えています。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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ホップ・ステップ・ジャンプ
1年生はホップ、2年生はステップ、そして3年生は大きくジャンプする学年です。ジャンプの先には輝く未来があると信じることのできる社会を作るのが大人の役目だと思います。1年生は3月初めに合格発表があり、合格者はすぐに招集され、中学から高校へのつなぎのための宿題や課題が与えられ、高校生となるための準備を始めました。これがウォーミングアップに当たります。千里高校では十分なウォーミングアップの後に、世界へホップ・ステップ・ジャンプできる生徒を育成していきたいと考えています。
さて、6月はカリフォルニアから15名の高校生がやってきました。本校生徒宅へホームスティをして13日から25日まで一緒に授業を受け、文楽鑑賞にも参加しました。短い期間ですが、友情を育むには十分な日々となりました。ホームスティを快く引き受けていただいた保護者の皆様の力が本校の国際交流を支えています。来年は本校生徒がカリフォルニアへ行きます。学校で学んだ語学力を試す機会として、大いに活用してもらいたいと考えています。
部活動においても6月は充実していました。陸上部は走り幅跳びの部で近畿大会に出場し、決勝戦まで残りました。後一歩のところで全国大会には及びませんでしたが、次につながる活躍をしました。女子バスケットボール部は近畿大会において、昨年に引き続き1点差で初戦を飾ることができませんでした。悔しさをばねに再挑戦してほしいものです。そして水泳部は7月20日から始まる近畿大会に向けて調整を始めました。

本校の部活動は高い目標を掲げ実現のために一層の努力をすることで確実に伸びています。その経験は人生のあらゆる場面で生かされるだろうと思います。最後の試合を終えた3年生は、部活動で身につけた集中力や粘りを発揮して受験勉強に突入します。
土曜日にも学校へ来て、自習室で勉強する生徒が増えてきました。自分の望む進路を実現できる力を付けさせていきたいと考えています。
大阪府立千里高等学校長 西島多枝子
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みどりの風景
5月のゴールデンウィークが過ぎた頃には新入生も学校になれてきたように思います。昼休みは運動場でサッカーやラグビーのボールをける生徒、グランド整備をする野球部などどこの学校も昼休みの光景は同じようなものです。本校の敷地内には一つ一つにネームプレートが付いた豊かな植栽があります。関心のある生徒は昼休みを利用して観察をしています。また、プランターを利用して先生が植えたサクランボは見事な実を付けました。野鳥と競うようにしてご馳走になりました。この間、誰かはわかりませんが水遣りをしていた生徒がいます。さりげない気遣いに豊かな心を感じます。
5月になると本年度前期の生徒会役員が決定しました。14日(水)に生徒会執行部の生徒とお弁当を持ち寄って校長室で昼食会を行いました。生徒会活動への抱負や学校の印象など聞きました。充実した高校生活を送ることができるよう生徒会としても取り組みたいと力強く応えてくれました。翌日は創立記念日でしたが、本校では通常通り授業を行っています。伝統を引き継ぎ、未来に託すことができるように、また学校の誕生日を忘れないように、この日を大切にしていきたいと思います。
5月中旬のプレ中間考査が終わる頃になると大勢の教育実習生がやってきます。校内は先生の卵たちで活気付いています。先生方の前で挨拶をさせたところ、誰もが同じような内容の挨拶でした。かつての実習生はもっと自分らしく挨拶していたのにと思っていたら、早速、担当者から指導が入りました。これからも挨拶や自己紹介する機会は多いと思いますが、自分らしくそして聞く人の心に届くスピーチをしてほしいものです。未来の同僚となる卵たちを応援しています。
そして、生徒たちは様々な活動に取り組みました。
総合科学科の1年生は考査最終日に理系の研究者の「学ぶことの意味」という題目の講演を聞きました。これからの学習への動機付けとともに、世界に羽ばたく科学者が千里から生まれることを期待します。26日には家庭科の先生の引率のもと、学校から10分ほど歩いてヒメボタルの観察に行きました。薄暗い木々の間から、電飾が点滅しているかのよう力強く光るホタルの美しさに感動しました。生徒はその数を数えるのが大変そうでした。
30日、雨上がりの絶好のコンディションのもと、全校生徒がいっせいに校内の除草を行いました。土の中から出きたミミズや幼虫の姿に喚声(悲鳴?)をあげながら、土のにおい草のにおいに触れた貴重な体験です。国際・科学高校という時代を先取りした教育活動の傍ら、我々が高校時代に体験してきたような奉仕活動もしっかりと根付いていることを感じます。そして、陸上部と女子バスケットボール部は昨年に引き続き、近畿大会出場を成し遂げました。伸ばす授業を学校の骨子として、体験的な学習や課外の活動を通して心豊かでたくましい人を育てる学校として日々の教育活動に取り組んでいます。
のびゆく若竹 千里高生
千里高校のホームページにお越しいただきありがとうございます。校長室から千里高校をご紹介します。 本校は大阪で始めての国際・科学高校を開校するに当たり、これまでの普通科・国際教養科の教育実績を引き継ぎ、21世紀の未来を創造する学校へと伸展するため、すべての教科・科目を見直し45分7限35単位でカリキュラムを編成し、生徒のニーズに応じて多様な選択ができるよう配慮しました。本校が掲げた教育理念のもと基礎基本の学力の定着、生徒の多様な興味関心に応じた理系・文系の教科を学べる学校として出発しました。17年4月、国際文化科160名、総合科学科120名の1期生を迎えました。3月には英語や情報のスキルの成果を含めた「探究」の学習成果発表「千里フェスタ」を生徒の自主運営で開催し、確かな手ごたえを感じながら更なる発展をめざしてまいりました。生徒たちは学習活動を中心に学校行事や部活動にも力を発揮しました。サッカー部はインターハイ大阪代表に選ばれ、男子バレー部、陸上部、バドミントン部、女子バスケットボール部は近畿大会へ出場するなど高いレベルで「文武両道」を実現しました。そして平成20年3月、国際・科学高校のパイオニアとも言うべき1期生は国公立大学へは75名、関関同立275名が現役で合格を果たし卒業していきました。 今年4月2日、大阪のトップをきって入学式を行い国際・科学高校としては4期生となる生徒を迎えました。本校をめざし希望に燃えて入学してきた生徒が力を発揮し充実した学校生活をおくれるように教職員一同、全力で教育活動に取り組んでいきます。1年生は3日、4日の2日間オリエンテーション、学力診断テストを受けました。4月8日、3学年そろった始業式では学校という集団のなかで謙虚に学び、学校行事や部活動に積極的に参加し自ら行動することで学校を楽しい所にするよう話をしました。4月9日、新入生歓迎会では2年生の拍手とブラスバンド部の演奏に迎えられて入場した1年生から「すごい!!」と言う感嘆の声が聞こえました。全体を仕切った2年生が少し誇らしげにしているかのように見えました。なんにでも一生懸命取り組む千里高生の姿がそこにありました。 新学期が始まり1ヶ月が過ぎました。生徒は予鈴が鳴るまでには門をくぐっています。運動場に目をやると予鈴の前に準備運動が始まっています。3年生のある教室でも先生はすでに教壇に立っておられ、生徒は黒板に数学の問題を解いていました。本校は45分7限授業を行っていますが、「50分の内容の授業を45分で行う。」と言った国際・科学高校の開校時の精神がどの授業にも生かされています。時間を大切にされている先生の姿勢が生徒にも伝わっているように思います。 ゴールデンウィークには多くの運動部で公式戦が行われました。85%以上の生徒が部活動に参加し熱心に活動していますが、高いレベルで勉強と部活動の両立に取り組んでいる生徒を先生方も一生懸命支えています。本校の校章はしなやかな弾性を表現した竹の葉を表しています。のびゆく若竹のようにしなやかで強靭に、真の優しさと強さを兼ね備えた21世紀のリーダーとして社会に貢献できる人材を育成すべく取り組んでまいります。
着任のご挨拶
本校のめざす人材育成の基本的な考え方を紹介します。
1 不断の授業改善を図ることにより、生徒の学問に対する興味・関心をさらに高める授業を提供し、個々の自己実現に対して最大限の支援を行います。
2 学校行事や部活動等、生徒が主体的に参加できる体験的な学習の場を積極的に提供することによって、「自主・自律・創造」の精神を涵養し、知徳体バランスのとれた人間形成の基礎を築きます。
3 たくましく時代を切り拓く「生きる力」を育み、地球規模で物事を考え、自分の考えを自分の言葉で発信できる力を伸ばし、国際社会や地域社会に活躍・貢献できる人材を育成します。
4 人間の尊厳を知り、豊かな人権感覚を持つ生徒を育てます。
本校生徒は「自主・自律・創造」「文武両道」をモットーに勉学のみならず、学校行事、部活動にと高校生活を心ゆくまで謳歌しています。学習において培ったコミュニケーション力を生かし多くの国々の異なる文化や生活を理解し、国際社会の中の日本、自分を見つめております。さまざまな体験をとおして生きた知識を身につけるよう努力しています。 本校の校章は、千里丘陵を緑に彩る竹の葉の形とその弾力性がモチーフとなっており、校歌にも「のびゆく若竹」、「千里の駒はひたかける」という歌詞が詠み込まれています。生徒たちが本校で学ぶことによって、若竹のように伸びやかでしなやかな、そして若駒のように強靭でたくましい、生きる力を身につけ、真の優しさと強さを兼ね備えたリーダーとなってもらいたいと考えています。