本当に部屋をキレイにできる掃除機はどれか? ここでは、サイクロン式掃除機の最新モデルを価格.com編集部員が実際に使って、「ゴミをどれだけ吸うか」「吸引力は持続するか?」といった掃除機本来の機能を中心に、それぞれの性能と徹底比較した。はたして、その結果は?
吸込仕事率が高い他の掃除機よりもゴミを吸い込み、そしてその吸引力を維持できる唯一の掃除機として証明された「DC22 ddm motorhead」。そのボディに詰め込まれた最新テクノロジーとダイソンならではのこだわりをチェックしていこう。
PART1で解説した独立第三者機関(IBR/英)のテスト結果から、掃除機本来の性能を表しているのは、「吸込仕事率(W)」ではなく「ゴミ集じん率(%)」であるということがご理解いただけたかと思う。
そうなると気になるのが、市場で話題の「吸込仕事率(W)」の高いサイクロン掃除機の“本当の掃除性能”だ。そこで今回は、価格.com人気アイテムランキングでも上位を占めるメーカーのサイクロン式掃除機について、「どれだけちゃんとゴミを除去できるか」という掃除機本来の性能を探るため、「吸引力/吸引力の持続力」に注目し独自のテストを行ってみた。
今回ピックアップしたのは、各メーカーのフラッグシップモデル5機種。いずれも、実売価格で5万円以上のハイクラスモデルである。なお、一般的に掃除機の性能を示す単位として用いられる各製品の「吸込仕事率(W)」もあわせて表記しておく。テスト結果とあわせてご確認いただきたい。
掃除機の清掃機能で問題となるのが、「吸引力の低下」と「排気の汚れ」だ。事実、価格.comのクチコミ掲示板でもこの問題についての意見を求める書き込みが多い。そこでここでは、この「吸引力の低下」と「排気の汚れ」をチェックするために、以下のような実験を行った。
ベビーパウダー(80g)を吸引 ⇒ フローリング上の食塩を吸引 食塩吸引時、ヘッドの移動は一往復。
夜光粉末(50g)を吸引 ⇒ ブラックライトでフィルターをチェック
ちなみに、ダストカップに取り込まれた夜光粉の量を測定してみたところ、「DC22 ddm motorhead(ダイソン)」が39グラム、「EC-VX2(シャープ)」が17g、「VC-1000X(東芝)」が10g、「MC-R7000JX (ナショナル)」が24g、「CV-RS1 (日立)」が21gであった。
テストに使用した夜光粉は、ややすべりが悪くしっとりとした感じがあるため、ホース内やヘッド部にも多く残留してしまう。そのため、このダストカップに集められたゴミの量は純粋にサイクロンの性能だけによるものではないが、比較検討材料として参考にはなるだろう。単純に考えれば、ダストカップに集められていないゴミは、掃除機内のフィルター、ホースやヘッド部、もしくは排気として放出されているということになる。ならば、ダストカップにキチンとゴミがたまっている掃除機を選ぶのが、懸命な選択だといえるだろう。
余談ではあるが、ベビーパウダーの吸引テストも回を重ねるごとに掃除機の吸引力が弱まり、左下の写真のように吸いきれずにパウダーが残ってしまったのだが、その部分をDC22 ddm motorheadで吸引すると、何度やっても右下の写真のようにきれいなる。「吸引力が衰えない掃除機」ということを実感したできごとだった。 そして、これこそが、「DC22 ddm motorhead」の真骨頂といえるだろう。
テストには、毎回新品のマットを使用。毛足の短い(2o程度)ものだが、それでも、ベビーパウダーなど粒子の細かいものは一番強いレベルで吸引しても左の写真のように残ってしまう。実験的に、DC22 ddm motorheadで吸引したところ、右の写真のように、眼で見る限りではほかの掃除機で吸いきれなかったパウダーが吸いきれてしまった |
さらに、他メーカーとの掃除機との違いを大きく感じたのが、ヘッドの「床面への吸い付き感」だ。今回の実験で、この感覚を具体的な数値で示すことはできないのだが、実際に使ってみてDC22 ddm motorheadのヘッド部分の床との密着度は非常に強く感じられ、このヘッド部分が掃除機本来の性能を大きく左右しているということを実感した。そのうえで、ヘッドを装着せずに数値を算出している「吸込仕事率(W)」というものについて改めて疑問を感じてしまった。
DC22 ddm motorheadのヘッド |
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正直なところ、日本メーカーのものに比べ構造がシンプルに感じられ不安を感じたのだが、真逆の結果となった。ブラシの回転は、床面の状況に応じてオン・オフが可能となってる |
テストを終えて感じたのは、日本メーカーの「サイクロン式」は、ダイソンの「サイクロン式」と、そもそもの構造(原理)が異なっているということだ。吸い込んだ空気を大気流で遠心分離するダイソンのサイクロン式に対し、日本メーカーのそれは、結局のところ、吸い込んだあと、微細なゴミは各種フィルターでこしとるという構造になっている。そのため、日本メーカーのサイクロン式掃除機では、フィルターに積もった微細なゴミを自動で除去する装備や、目詰まりを知らせる機能など、さまざまな工夫がされているのである。 だが、この一見気が利いていると思わせる機能は、裏を返せば、吸い込んだゴミをしっかりと遠心分離できる“本当のサイクロン式掃除機”ならまったくもって必要のない機能なのだ。
しかも、なるべく多くのゴミをキャッチするために、フィルターは2重3重になり、構造も複雑になっている。フィルターに頼る掃除機は、必ずフィルターの目詰まり時期がやってくる。複雑な構造になった掃除機のフィルターの手入れは実に面倒だ。 吸引力うんぬんよりも、掃除するたびにほぼ毎回フィルターの手入れをしなければいけないのでは非常にストレスがたまる。その点で、フィルターの手入れが7年間不要という「DC22 ddm motorhead (ダイソン)」は、価格こそ他モデルより若干高めだが、それだけの価値があると感じられた。