東京電力福島第一原子力発電所で、高濃度の汚染水がたまっている原子炉建屋などの地下に一日当たり最大で500トンほどの地下水が流れ込んでいる可能性があることが分かり、経済産業省の原子力安全・保安院は、長期的な汚染水の処理計画に地下水の流量を考慮する必要があるとしています。
東京電力福島第一原発では、1号機から3号機の原子炉を冷却させるため、一日550トン余りの水を注入していますが、こうした冷却水が高濃度の汚染水となり、原子炉建屋やタービン建屋などにおよそ8万トンたまっています。しかし、これまで処理した量に比べて汚染水の減り方が少ないため、東京電力が分析したところ、壁のひび割れなどから一日200トンから500トンほどの地下水が、建屋側に流れ込んでいる可能性があることが分かりました。東京電力によりますと、地下水は雨水がしみ込んだものと考えられていますが、建屋の地下に流れ込んでしまうと高濃度の汚染水と混ざり、結果的に汚染水全体の量が増えることになるということです。このため、東京電力では、当面、建屋の地下にたまった汚染水の水位を地下水よりもやや低い水準に保つことで、流入する量をこれ以上増やさないようにする考えです。原子力安全・保安院は、「長期的な汚染水の処理計画に地下水の流量を考慮する必要がある。地下水の量は季節によって変わるので、今後、評価していきたい」としています。