Windows
TIPS
[System Environment]
右Altキーに[漢字]キーを割り当てる方法
(AXキーボード設定を利用する方法)
→ 解説をスキップして操作方法を読む
デジタルアドバンテージ
2000/01/26
2001/12/14更新
対象OS
Windows 2000 Professional
Windows XP Professional
Windows XP Home Edition
Windows 2000 Server
Windows 2000 Advanced Server
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日本語版Windowsを英語キーボードで使っているとき、漢字変換のオン/オフは[Alt]+[~]キーで行う。
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これが面倒なら、AXキーボード用ドライバに切り替えることで、右[Alt]キーだけで漢字変換をオン/オフできるようになる。
■
ただし、Windows 2000/Windows XPでは、ドライバは提供されているものの、ドライバ一覧などには表示されないので、レジストリを編集する必要がある。
周知のとおり、日本語対応がなされた106型 や109型 キーボードには、[無変換]キーや[カタカナ・ひらがな]キー、[半角・全角]キーなど、かな漢字変換プログラムでの日本語入力を支援するためのキーが追加されている。しかし逆に、これらのキーが追加されたために、スペース・バーが小さくなったり、かな漢字変換プログラムの使い方によっては、前出のような追加キーは不要だったりすることから、日本語環境でも101型 や104型 英語キーボードを使っているユーザーも少なくないようだ。またビジネス用途ではないが、PC用のゲームなどは英語版の移植が多く、このため英語版キーボードを前提としていて、日本語キーでは非常に使いにくいということもある(英語キーでは直近にあるキーの組み合わせが、日本語キーでは遠く離れてしまうなど)。106型や109型日本語キーボードでは、かな漢字変換プログラムのオン/オフをトグルさせるキーの組み合わせとして、伝統的に[Alt]+[半角・全角]キーが割り当てられている(IME
2000からは、[半角・全角]キーだけでオン/オフが可能にされた)。一方、101型や104型英語キーボードを接続して使用する場合には、[Alt]+[~](チルダ)キーによってかな漢字変換プログラムのオン/オフを行う。
[半角・全角]キーにしろ、[~](チルダ)キーにしろ、位置的にはメインキーの左上端にあるので、通常は左手の親指で左[Alt]キーを押し、同じ左手の薬指ないし人差し指で[半角・全角]または[~]を押すことになる。慣れの問題と言われればそれまでだが、片手でこれらのキーを同時に押すのは面倒な操作だ(日本語キーボード+IME
2000なら[半角・全角]キーのみでオン/オフが可能になり、便利になったが、やはり入力しやすいとは言えない)。特に本サイトの記事のように、半角の英数字を多用する原稿を書くなど、頻繁にかな漢字変換のオン/オフを繰り返すような使い方をするなら、2つのキーの組み合わせではなく、1つのキーで(しかも、より入力しやすい位置にあるキーで)オン/オフ操作を行いたいと考えるだろう。
このような場合には、「AX キーボード」設定を活用するとよい。AXは、国内ではまだNECの9800シリーズが全盛だった1987年に、日本のマイクロソフトが中心となって提唱したPC/AT互換機 をベースとする日本向けのPCアーキテクチャ仕様である。AXの基本思想は、当時すでに世界標準のPC仕様だったPC/ATに必要最低限の変更を加え、日本語環境を実現するというものだ。このため、漢字ROMを搭載する必要があったグラフィックス・カードや(当時はプロセッサの処理能力が低く、ソフトウェアだけで日本語フォントを表示することは困難だった)、キーボードを日本語化した以外は、ほとんどPC/AT互換機をそのまま使う仕様であった。このキーボードの日本語化も、必要最低限の変更ですませており、基本的には101型キーボードの右[Alt]キーを[漢字]キーとし、ここでかな漢字変換プログラムのオン/オフを可能にしていた。
つまり、英語版の101型や104型キーなどを利用するときに、AXキーボード・ドライバを利用すれば、他のキーはほとんどそのまま、右[Alt]キーを[漢字]キーに割り当て、1アクションでかな漢字変換プログラムのオン/オフが可能になるわけだ。このためパワー・ユーザーの間では、AXキーボードをわざわざ買い求めて使ったり、101型/104型キーボードを接続し、AXキーボード・ドライバを組み合わせて使ったりする人が少なくない(何を隠そう、筆者もその1人である)。
Windows 9xや、前バージョンのWindows NT 4.0では、このAXキーボードが明示的にサポートされており、OSのインストール時にメニューから選択することができた。しかしWindows
2000/Windows XPでは、インストール時の選択肢にはAXキーボードは登場せず、コントロールパネルの[キーボード]アイテムからドライバ一覧を表示させても、選択項目は表れなくなってしまった。Windows
2000/Windows XPでは、AXキーボードはサポートされなくなってしまったのか……?
心配はご無用。選択項目には表れないものの、AXキーボード用のレイヤ・ドライバはWindows 2000/Windows XPでも提供されており、レジストリ を操作すれば、AXキーボード設定を利用できる。具体的な設定手順を次にまとめよう。ただし、これはレジストリを操作する場合に共通して言えることだが、システムを管理・運用するための重要な情報が記録されているレジストリに対し、マニュアル作業で不適切な値を書き込んでしまうと、最悪システムが正常に起動しなくなるなど、致命的な障害を招く危険性がある。特にキーボードは、PCシステムにとってクリティカルなデバイスの1つなので、操作には細心の注意が必要である。
[注意]
レジストリに不正な値を書き込んでしまうと、システムに重大な障害を及ぼし、最悪の場合、システムの再インストールを余儀なくされることもあります。レジストリ・エディタの操作は慎重に行うとともに、あくまで御自分のリスクで操作を行ってください。何らかの障害が発生した場合でも、本Windows
Server Insider編集部では責任を負いかねます。ご了承ください。
ドライバが存在することを確認し、レジストリで設定する
まず最初は、%SystemRoot% \system32フォルダに、AX用のレイヤ・ドライバ(kbdax2.dll)が存在することを確認する。このファイルのプロパティを表示すると、これがAX用のドライバであることが分かる。
%SystemRoot%\system32フォルダに収録されているキーボード用レイヤ・ドライバ
%SystemRoot%\system32フォルダを一覧し、キーボード用のレイヤ・ドライバを一覧させたところ。このようにsystem32フォルダには、現在使用している以外のキーボード用レイヤ・ドライバもコピーされている。画面はWindows
2000でのもの。
AXキーボード用レイヤ・ドライバ。
kbdax2.dllのプロパティを表示したところ
kbdax2.dllファイルのプロパティ・ダイアログを表示させ、[バージョン情報]タブをクリックしたところ。画面はWindows
2000のもので、Windows XPでは、ファイル・バージョンは「5.1.2600.0」となっている。
AXキーボード向けの日本語キーボード・レイアウト用ファイルであることが分かる。
次にレジストリ・エディタ を起動し、HKEY_LOCAL_MACHINEハイブ のSYSTEM\CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parametersキーを表示し、現在の内容を確認する。レジストリ・エディタを起動するには、エクスプローラから%SystemRoot%\regedit.exeを実行するか、[スタート]ボタンの[ファイルを指定して実行]を選択し、表示されるダイアログで「regedit」と入力して[OK]ボタンをクリックすればよい。レジストリ・エディタは、[スタート]−[プログラム]メニューなどには登録されていない。
レジストリ・エディタを起動し、HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM \CurrentControlSet\Services\i8042prt\Parametersを表示したところ
画面はWindows 2000に英語版の101型キーボードを接続し、Windows
2000をインストールした状態のもの。
日本語用レイヤ・ドライバとしてはkbd101.dll(101型キーボード用)が、キーボードのサブ・タイプは「0」が、キーボード・タイプは「7」が設定されていることが分かる。
ここでi8042prtとは、Intel 8042ポート用ドライバを意味している。Intel 8042はPC/AT互換機用のキーボード・コントローラ・チップであり、i8042ポート・ドライバは、キーボードおよびマウス(PS/2互換マウスとして知られるポート・マウス)を制御するドライバである。これらの設定を次のように変更する。
値の名称
データ型
値
LayerDriver JPN
REG_SZ
kbdax2.dll
OverrideKeyboardIdentifier
REG_SZ
AX_105KEY
OverrideKeyboardSubtype
REG_DWORD
1
OverrideKeyboardType
REG_DWORD
7
レジストリの設定値
ここで「LayerDriver JPN」は、日本語環境向けのキーボード・レイヤ・ドライバの指定、「OverrideKeyboardIdentifier」はキーボード識別子である。「OverrideKeyboardType」および「OverrideKeyboardSubtype」は、英語環境では通常は指定されない設定値で、レジストリにおけるキーボード・タイプやサブ・タイプをオーバーライドするためのものである。これらにより、拡張101型キーや旧版のATキーボード(83、84キーなど)、各PCベンダ独自のキーなどを利用可能にする。
設定後のレジストリ・エディタの画面は次のようになる。
設定変更後のレジストリ・エディタの表示
各設定値を変更した後のレジストリ・エディタの表示はこのようになる。
各設定が上の表の値になっていることが分かる。
以上で設定は完了である。システムを再起動すれば、AXキーボード用のレイヤ・ドライバが有効になり、右[Alt]キーに[漢字]キーが割り当てられる。
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【2001/12/14】 Windows XPに関する情報を一部加筆・修正しました。
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