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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】慰安婦の碑 首脳会談で中止を求めよ
ソウルの在韓日本大使館前に、いわゆる「従軍慰安婦」の碑を設置する許可を韓国当局が与えていたことが明らかになった。日本の在外公館前に反日的な構造物を設置することは両国の外交関係に亀裂を広げる。野田佳彦首相は米国で21日(日本時間22日)行われる李明博大統領との首脳会談で、建設中止を求めるべきだ。
碑は、慰安婦を象徴する少女の像の隣に空席の椅子が並ぶデザインで、「平和の碑」と名付けられるという。日本大使館前で毎水曜日に抗議集会を開いている韓国の慰安婦支援団体が、今年7月に建設計画を発表した。
管轄のソウル市鍾路区が建立を許可するまでの審査過程で、韓国の保健福祉相が設置を推奨する文書を提出していた。韓国政府が後押ししたことは極めて問題だ。
こうした事態を招いた責任は、民主党政権の韓国に対する及び腰の外交姿勢にもある。
昨年8月、菅直人前首相は日韓併合100年に合わせ、日本の過去を一方的に批判し謝罪した首相談話を発表した。今年5月の日韓首脳会談で、菅氏は韓国の国会議員らが北方領土を訪問する問題を取り上げなかった。同時期の温家宝首相との日中首脳会談でも、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に触れなかった。
何のための首脳外交か分からない。日本の主権と国益が侵害されるような重大な外交案件については、首相自身が相手国の首脳にはっきりと抗議の意思を示さなければならない。首脳会談で言うべきことを言わない対応が外国につけ込まれていることを、野田首相も認識すべきだ。
今月、韓国政府は日本統治時代の慰安婦の賠償請求権を確認するための協議を申し入れてきた。これに対し、日本側は「法的に解決済みだ」として協議に応じない方針を示した。昭和40(1965)年の日韓基本条約の付属文書で、双方の請求権が「完全かつ最終的に処理された」と明記され、個人の賠償請求権は消滅している。野田政権の対応は当然である。
来年、米大統領選に加え、ロシアや韓国でも大統領選が行われ、中国共産党の総書記も交代する。近隣諸国が政権の変わり目に、歴史や領土問題などで対日圧力を強めてくることが十分に予想される。野田政権は、前政権の轍(てつ)を踏んではならない。
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