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東日本大震災:福島第1原発事故 賠償請求に案内書160ページ、記入用紙60ページ

被災者が殺到し開始30分で約2時間待ちになった東電の相談窓口=福島市で2011年9月20日午前10時4分、河津啓介撮影
被災者が殺到し開始30分で約2時間待ちになった東電の相談窓口=福島市で2011年9月20日午前10時4分、河津啓介撮影

 ◇「多すぎ」「高飛車」 被災者、東電に怒り

 東京電力が受け付けを始めた福島第1原発事故の個人向け損害賠償を巡って、被災者から「書類が多すぎる」などの苦情が殺到している。被災者に届いた書類は、記入方法を示した案内書だけで約160ページ、記入用紙は約60ページに及ぶ。東電は「丁寧に説明するために分量が多くなってしまった」と釈明するが、被災者からは「請求させないためとしか思えない」との声さえ上がっている。【河津啓介】

 東電は12日に3~8月分の損害の請求書類の発送を始めた。東電の相談センターへの電話は発送前は1日1000件程度だったが、その後3000件に急増した。

 福島県田村市の仮設住宅に暮らす60代男性は「数日前に書類が届いたけど全然分からないから手をつけていない。説明会で直接書き方を聞かないと無理」とあきらめ顔だ。

 福島市では20日午前、同県飯舘村の住民を対象にした説明会が開かれた。夫婦で訪れた杉岡茂さん(59)は「前日も来たけど人が多くて今日出直した。請求通りの額になるか不安だし、何より東電の姿勢に納得できない」と話した。

 東電は現在280人態勢で県内各地で請求手続きの説明会を開いているが、10月からは900人に態勢を強化して対応するという。

 しかし、全国に散り散りになった被災者は直接説明を聞けず、電話で問い合わせするしかない。福島第1原発から十数キロの自宅から北九州市八幡東区に避難した鈴木芳王(よしおう)さん(44)は「途方に暮れている。将来を左右する問題を電話で済ませられるわけがない。東電は各戸を回って説明すべきだ」と憤る。

 福島県双葉町の井戸川克隆町長は「分厚い用紙に答えなければ補償しない高飛車な態度に怒りを感じる」と批判し、17日、東電に説明会の中断を要求した。18日以降、同町向け説明会の開催が見合わされる異例の事態となった。

 今後、9月以降の請求も3カ月ごとに必要になる。被災者は「せめて次回は簡素にして」と訴えるが、東電は「今のところ、変更の予定はない」としている。

毎日新聞 2011年9月20日 東京夕刊

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