河北春秋

 農地のセシウムを除去する手段として、植物利用があることを以前、この欄で紹介した。しかし、ヒマワリでは効果が薄いと農水省の実験で分かった▼最も効果があったのは土の表面を3〜5センチ削り取ること。そうですか、ヒマワリは駄目でしたか。白旗を揚げたいところだが、少し待ってほしい。ニュース映像を見ると、実験は穴を掘って種をまいていた

 ▼種から上に根が伸びでもしない限り、これでは土の表面付近に多いセシウムを吸収できない。専門家が推奨していたのは、発芽させた種を土の上にばらまく方法だ。今度の実験だけで、植物利用が望み薄とは言えまい▼今後2年間で、飛散した放射性セシウムは、放射線の強さが自然に3割減るという。雨などで土中に染み込むウェザリング効果でも1割減る。合わせて線量は4割減ると政府は試算している

 ▼線量の自然減少を言われても、住民のいら立ちは募るばかりだろう。線量の多い所や学校は表土を削る、農地はこの季節なら菜種を利用する―など、多様な方法を駆使した一刻も早い除染を住民は待ち望んでいる▼農林省や環境省に除染の専門家はいないといわれる。大学や研究機関がそれぞれに除染のアイデアを出しているのが現状だ。英知を結集するリーダーシップを国が取らないのがもどかしい。

2011年09月16日金曜日

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