東京都立七生養護学校(日野市、現七生特別支援学校)に勤務していた教諭らが、知的障害児に対する性教育の授業を批判され、精神的苦痛を受けたとして、都議ら3人と都などに約3000万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(大橋寛明裁判長)は16日、都議ら3人と都に210万円の支払いを命じた一審判決を支持し、控訴を棄却した。
都側は、同校の授業内容は学習指導要領に違反すると主張したが、大橋裁判長は「指導要領は最小限度の基準で、教育内容は要領の大枠を逸脱しない限り、実践する者の広い裁量に委ねられている」との判断を示した。特に養護学校では、現場の創意工夫に委ねる度合いが大きいとして、都側の主張を退けた。
その上で、視察時に「感覚がまひしている」と教諭らを批判した都議らの発言は侮辱行為であり、教育への不当な支配に当たると指摘。教諭らに対する都教委の厳重注意も違法とした。
訴えていたのは教諭と保護者ら計31人。判決によると、同校は性に関する生徒の問題行動を防ぐには正確な理解が必要との考えから、男性器の模型で射精の仕組みを教えるなど、独自の性教育に取り組んでいた。都議らと都教委は2003年7月に同校を視察し、その後都教委が教材を没収するなどした。
[時事通信社]