2011年7月24日 22時24分 更新:7月25日 1時2分
【温州(中国浙江省)隅俊之】中国浙江省で23日起きた高速鉄道での追突、落下事故で、鉄道省報道官は24日、事故原因を「落雷による設備故障」とする見解を示した。落雷で、衝突を回避する制御系統に重大な問題が生じた可能性が出てきた。事故の死亡者は43人、負傷者は211人に上り、中国指導部は事態を重視、張徳江副首相を現地に派遣する一方、上海鉄路局の竜京局長ら幹部3人の更迭を決めた。
新華社通信によると、浙江省杭州発福建省福州南行きのD3115列車が高速鉄道の高架橋を走行中に落雷の影響で停止したところ、後続の北京南発福州行きのD301列車が追突。双方の計6両が脱線し、D301の4両が高架から約15メートル下の畑地に落下した。
現場は温州南駅から約12キロ離れた田園地帯。D3115には約900人、D301には約500人が乗車。双方の列車の乗客によると、D3115が緊急停止した約7分後、停車駅に近づいて減速していたD301が追突した。急ブレーキをかけるような衝撃はなかったという。高架橋から落下した4両は寝台車両とみられ、各車両に40~55人が乗っていた。3両が地面に落下、1両は高架橋から垂直にぶら下がるような状態となった。
中国の温家宝首相は24日、日本国際貿易促進協会会長として訪中した河野洋平前衆院議長と北京で会談した際、鉄道事故の原因究明を図る必要性を強調した。同席者によると、苦渋に満ちた表情で「事故の対応で昨晩はほとんど眠っていない」と語ったという。
事故が起きた高速鉄道区間は09年9月に開業し、営業速度は200~250キロに設定されている。D3115はカナダ、D301は日本の技術をベースに国内で生産した車両。