2011年7月23日 1時51分 更新:7月23日 2時38分
中部電力が22日発表した浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の新たな津波対策は「2~3年かかる」としていた工期を大幅に短縮、12年12月に終える見通しになった。
同社の増田博武原子力部長は「工期の短い方法を検討し、十分な耐久力のある工法が見つかった」と説明。しかし、原発の運転再開時期は「言う段階にない。新たな対策で安全性を一層向上し、皆さんの安心につながるよう努力する」と述べるにとどまった。
東日本大震災後に打ち出した15項目の津波対策に追加した新たな対策は▽防波壁(総延長1.6キロ)を当初計画より6メートル高い18メートルとする▽高さ10~15メートルの砂丘を最大2メートルかさ上げ▽防水構造の新建屋に緊急時海水取水設備を設置▽原子炉建屋の防水強化--など15項目。8月中に防波壁建設に着工する。
増田部長は「できることはすべて盛り込んだ」と述べる一方、中央防災会議で新たな知見が得られれば、さらに必要な対策を講じる考えを示した。
石原茂雄御前崎市長は22日、「防波壁の着工前倒しは市民の安心安全を確保する上で評価する」と述べた。
一方、浜岡原発差し止め訴訟原告団代表の白鳥良香さん(78)は「中部電はこれまで砂丘で津波対策ができると主張していた。18メートルの防波壁を造ると言い出したことは、砂丘では防げないことを認めたも同然だ」と語った。【丸山進、舟津進、仲田力行】