2011年7月22日 11時31分 更新:7月22日 12時24分
【ロンドン会川晴之、ブリュッセル斎藤義彦】ギリシャ救済問題を討議していたユーロ圏(17カ国)首脳会議は21日夜(日本時間22日未明)、10時間の討議の末、総額1590億ユーロ(約18兆円)の追加支援策に合意した。ギリシャ、アイルランド、ポルトガルへの金融支援の条件を大幅に見直し、返済期間延長や金利低減を図る。また、欧州金融安定化基金(EFSF)の機能を拡充し、財政危機に陥った諸国の国債を市場から購入する機能や緊急融資機能を与えることで、安全網(セーフティーネット)を強化する。
支援の内訳は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の追加融資が1090億ユーロ、民間機関の自主的貢献が約500億ユーロとなる。
焦点だった民間金融機関の関与については、国債の借り換えや、買い戻しなど4通りの選択肢を示した。民間金融機関が「自主的」とはいえ、不利益を被る支援の枠組みに関与するため、欧米の主要格付け会社はギリシャ国債を一時的に「デフォルト(債務不履行)」と認定する可能性は残る。デフォルト認定された場合、経済協力開発機構(OECD)加盟国では初めてとなる。
デフォルト認定されると、ギリシャ国債が欧州中央銀行(ECB)のオペ(公開市場操作)の対象から外れる可能性があるが、EFSFが緊急融資でギリシャの金融機関を支援する備えを講じた。
支援条件の見直しは、返済期間を従来の7年半から15~30年に延長するほか、金利も従来の4・5~5・8%から約3・5%に引き下げる。支援を受ける国の負担を軽減するのが狙い。
ギリシャのパパンドレウ首相は「わが国発展の道を作った」と評価。支援の手法をめぐって対立が続いていた各国首脳は、イタリアやスペインなど主要国にも危機が波及し始めたことを受け、最終的に歩み寄った。ギリシャへの支援額は、昨年5月に決定した1100億ユーロと合わせると2690億ユーロとなる。