気温:猛烈な地表熱が主因…熊谷の国内最高40.9度

2011年7月22日 11時23分 更新:7月22日 12時13分

第3のフェーンの概念図※筑波大の日下博幸准教授らの研究資料を基に作製
第3のフェーンの概念図※筑波大の日下博幸准教授らの研究資料を基に作製

 埼玉県熊谷市で07年8月16日に記録した国内観測史上最高気温40.9度が起きた仕組みを、筑波大の高根雄也大学院生と日下博幸准教授のチームが解明した。従来指摘されてきたフェーン現象に加え、地表の熱で周辺の空気が猛烈に暖められたことが主因だった。米気象学会誌(電子版)に発表した。

 ◇筑波大チームが解明

 チームが当日の気象条件を調べたところ、熊谷市に空気を吹き下ろした山岳地帯の上空1500メートルの気温は21.6度だった。乾燥した空気が100メートル下がるごとに1度ずつ上昇するか、湿った空気が雨を降らせた後の乾燥で気温を上昇させるという従来の2種類のフェーン現象では、今回の40.9度まで届かなかった。

 そこで、スーパーコンピューターで当時の気流を再現。その結果、熊谷市に流れ込んだ空気の塊の約6割が標高1000メートル以下の地表の熱を吸収したものであることが分かった。これは、比較的低い高度の空気が流れ込む「第3のフェーン」と呼ばれる現象だった。また海風が、暖かい空気の移動を妨げ滞留させていた。残りの温度上昇の要因は通常のフェーン現象が寄与していたという。

 熊谷市と同じ日に同じ気温を観測した岐阜県多治見市でも解析を進める計画で、日下准教授は「天気予報の精度向上に役立てたい」と話す。【安味伸一】

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