|
日本のテレビでも、すっかりおなじみとなった韓流コンテンツ。ドラマに音楽に存在感を増す一方、一部で批判もあがりはじめた。国外では「規制」に向けた動きまで出てきた。
「もっと日本のドラマをみたい」「フジは売国奴」
先月7日、東京・台場のフジテレビ周辺。韓国の番組や音楽を多く流し偏っていると数百人が練り歩き、訴えた。同21日は5千人以上。その後もデモが続く。
たしかに韓国番組は増えている。7月の番組表(関東地区)を調べると、フジが韓国ドラマを放送した時間は約38時間で民放の中で最も多い。続くTBSの約19時間の2倍だ。NHK放送文化研究所の2009年の調査では、韓国を含む外国番組の衛星放送への移行が進み、地上波では「減少傾向にある」。だが「昨年辺りから増えている」(同研究所担当者)という。
理由は「安さ」だ。景気低迷などで広告費は減少。「自局で制作するより、他国から安く買う方がいい。韓国ドラマは視聴率をそこそことる」と、在京民放キー局関係者は言う。テレビ業界の課題である、制作費の切り詰めにもつながる。
ただ、総世帯視聴率が高いゴールデンタイムで放送される例は少ない。民放で近年放送されたのは「アイリス」(TBS)くらい。フジやTBSが主に流すのは平日朝や昼だ。
韓国番組の普及の背景には韓国の「戦略」もある。1997年の経済危機を機に大手企業がグローバル戦略を強化。人口が日本の3分の1で市場規模も小さいなか、国外市場を意識した作品づくりを本格化させた。国も後押ししている。
NHKが「冬のソナタ」を放映した03年に628万ドルだった韓国ドラマの日本への輸出額(契約時)は、10年に8162万ドルと急増。総輸出額のおよそ6割が日本だ。ベトナムやマレーシアなどアジア各国にも広がる。
韓国の政府系機関「韓国コンテンツ振興院」のキム・ヨンドクさんは「アジア各国に輸出しているが、文化的に近く市場規模も大きいことが、日本進出につながっている」と話す。