タイガース戦を休養のため欠場し、ベンチでチームメートと会話する松井(左)。球団は残留を望んでおり、減俸提示を受け入れれば来季も同じユニホームを着ることになる(共同)【フォト】
この成績では仕方がないのか、それともこれがアスレチックスのしたたかな補強戦略なのか。早くも地元紙で来季残留と報じられた松井だが、球団は100万ドル(約7700万円)以上の減俸をオファーする方針であることが分かった。
「引き留める方向だ。今オフにどんな補強をしても、マツイはうちにフィットするタイプの選手。外野を守れるようになったし、若手の手本にもなる。ただ、今季のような年俸を提示することはないだろう」
こう明かしたのはビーンGMに昨オフ、松井の獲得を進言した球団幹部だ。松井の今季年俸は425万ドル(約3億3000万円、契約時のレートでは3億6000万円)ながら、成績は打率・255、12本塁打、71打点。現在のペースでは、3部門ともエンゼルスに在籍した昨季を下回ってしまう。今オフの提示額は約30%ダウンの300万ドル(約2億3000万円)前後になりそうだという。
ア軍が松井残留を望むのには、他にも理由がある。正外野手のジョシュ・ウィリンハム(32)、ココ・クリスプ(31)、デービッド・デヘスス(31)は3人とも松井より今季年俸が高い上、今オフはフリーエージェント(FA)になる。実績がある松井と300万ドル前後で再契約ができれば、補強資金が乏しいア軍もFA市場で積極的に動くことができるからだ。
ビーンGMが来季も現職にとどまると球団幹部や一部のスカウトに伝えたことも判明した。空席になっているカブスのGM候補に挙がっているが、ベテランのスカウトは「彼が今、力を入れているのは自分の移籍より本拠地の移転問題。オーナーと2人で取り組んでいる」と証言した。
ビーンGMの残留で、チームの方針も継続される。すでに来季はボブ・メルビン監督代行(49)の監督昇格と、フィル・ガーナー特別アドバイザー(62)のベンチコーチ就任が内定。2人も松井の残留を望んでいる。
ただ、残留オファーがあっても決断するのは松井だ。昨オフは「金額より、そのチームに必要とされているか」と発言。100万ドル以上の減俸でも、ア軍で現役続行の道を選びそうだが…。
後半戦初の4試合連続無安打中の松井はこの日、休養で7試合ぶりに欠場した。19日(日本時間20日)は試合がなく、「心と体をリセットして最後の9連戦に臨めればいい」とリフレッシュした。気持ちよく残留するためにも、打ちまくってシーズンを終える。
(紙面から)