停電:電力需給を示す知識経済部のモニターは不正確
大停電の危機を招いた四つの事実
全国の212万世帯に対して韓国電力公社が一方的に電力供給をストップし、それが原因で国民の間に大きな混乱が起こった15日、大韓民国の電力需給を管轄する知識経済部(省に相当)の電力需給チェックモニターは、完全に無用の長物だったことが分かった。
同部電力産業課はこれまで国民に対し「電力需給についてはモニターを通じてリアルタイムでチェックしている」と豪語してきた。確かにモニターはあり、チェックもしている。その日の最大電力供給量は毎朝発表され、電力の使用状況と予備電力はモニターを通じて確認できるようになっている。
しかし、電力取引所が電力供給能力について虚偽の報告を行っていたため、知識経済部がモニターを通じてリアルタイムでチェックしていたはずの電力需給状況を示すグラフもやはり偽りだった。報告書の内容を事前にチェックする機能がまったくなかったからだ。
知識経済部が電力需給状況をチェックするのに使用するモニターが無用の長物と化した理由は簡単だ。電力需要の予測と供給に責任を持つ電力取引所が、予備電力を正確に報告しなかったからだ。電力取引所は15日午後3時、予備電力が343万キロワットにまで減少したと知識経済部に報告し、11分後に停電に踏み切った。ところが「300万キロワット台で停電を行うのはマニュアルの内容と異なる」との指摘を受けると、電力取引所は「午後3時には秒単位で148万キロワットにまで低下したため、緊急の措置を行った」と報告内容を修正した。しかしこれも、実際はわずか24万キロワットだったことが、知識経済部の調査の結果、明らかになった。
電力取引所が計算してきた予備電力の中には、スイッチを入れて機械を稼働させてから、実際に電力を生産するまで5時間ほど時間かかる発電機も含まれていた。このように実際は予備電力に含めるべきでないはずの電力は、原子炉2機の発電量に相当する202万キロワットに達していた。夏の高温による発電効率の低下と、それによってもたらされる電力損失が117万キロワットに達するという事実も報告されていなかった。これらに基づいて改めて計算し直された実際の予備電力は、わずか24万キロワットだったという。
知識経済部は電力取引所の説明を信じて大恥をかいた。知識経済部電力産業課は、モニターに表示されるグラフで示される虚偽の予備電力を完全に信じ切っていた。そのため停電の必要があるとの報告に対しても「予備電力は十分だ」として報告を黙殺した。この時点で知識経済部が正確なデータを確保していれば、政府次元で国民に停電をめぐり事前説明をすることくらいは可能だったはずだ。
さらに情けないことに、15日に受け取った予備電力関連のデータが不正確だったとの事実を知識経済部が知ったのは、事故から4日も過ぎた後だった。
知識経済部は事故が発生してから2日が過ぎた17日になって監査に踏み切り、当日の予備電力が24万キロワットにまで低下していた事実を確認した。知識経済部の関係者は「この24万キロワットという数値も最終的に確認されたものではない。調査を行うたびに数値が変わるので、改めて調査を行う必要がある」とコメントした。政府が使用するモニターも信用できず、閣僚が発表した数値も最終確認されたものでないなら、大韓民国はいつ大停電が起きてもおかしくない状況にあるということか。
全洙竜(チョン・スヨン)記者
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