2011年09月13日

隠されてきたプルトニウム大量放出(その1)

東電が事故の重大性・危険性を十二分に認識し、自らは逃走、福島県民や国民には隠蔽した疑いが暴露され始めた。


(09/08)
4月の怪文書「福島の復旧は不可能」「死者は1000万人規模」


最も危険なプルトニウムについても新事実が続々と

飯舘村で大量のプルトニウムを検出
- Infoseek ニュース

飯舘村で大量のプルトニウムを検出 (日刊SPA)



以下カレイドスコープからプルトニウムの記事を転載

Wed.2011.09.07
原発・放射能隠されてきたプルト二ウムの大量放出! 

隠されてきたプルトニウムの放出量 

大気中に、大量のプルトニウムが放出されていたことについて、やっとメディアが騒ぎ出しています。

少し、おさらいです。
3月14日の午前11時頃に、福島第一原発 3号機で水蒸気爆発が起こりました。



プルトニウムは、運転中のどの原子炉からも自然に生成されているのですが、この3号機は核燃料ペレットを作る段階でウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使っているため(プルサーマル)、爆発した場合には、大量のプルトニウムが放出されます。

3号機では、原子炉に入っている数百本の燃料集合体のうち、その三分の一がMOX燃料でした。

映像で観る限り、3号機の爆発の噴煙は12日の1号機の爆発のときと違って、おそらく300m以上、高く舞い上がったことでしょう。
これが、上昇気流に載ってどこまで飛んでいったか、ということです。

アメリカの原子力専門家、アーニー・ガンダーセン氏は、

「4月の段階で、シアトルの人たちは、一日当たり5個ものプルトニウム放射性粒子(ホットパーティクル hot particle)を肺に吸い込んでいました。
この頃、東京の人は1日当たり10個のホットパーティクルを吸い込んでいました
と話しています。

CNN:福島原発プルトニウム粒子飛散!ガンダーセン氏解説,J.King7PM 6/7(字幕)




CNN解説+福島原発プルトニウム粒子等北米も飛散!ガイガー計測不能(字幕)



そして、これは8月30日にアップされたガンダーセン氏の最新ビデオです。

福島原発保管プール核燃料が爆発し破片1.5km越飛散! 新データ証明!(字幕)


4:10辺りから。
プルサーマルの3号機の使用済み燃料プールが破壊されていることを指摘しています。

大分、後になってから東電も、原発の敷地内数ヶ所からプルトニウムが検出されたことを認めました。
水素爆発のときに燃料プールが破壊されて、使用済みの燃料棒が破損して、周囲にプルトニウムが拡散したと考えないほうがおかしいのです。


ECRR(欧州放射線リスク委員会)科学議長のクリス・バズビー博士も、5月頭の時点で、

「すでに米国で(放射性)物質が出ていますし、ウラニウムとプルトニウムの濃縮物がハワイやマリアナ諸島のエア・フィルターから出ています。
福島第一原発の30km圏内を走っていた車のエアフィルターからも、プルトニウムが検出された
ことを指摘しています。

NHK、各民放−「プルサーマルという言葉はテレビでは出すな!」

「プルトニウム隠し」について、ジャーナリストの上杉隆氏は、おそろしいことを言っています。
東電、保安院、電事連すべての禁句は「プルサーマル」。

3月12日、14日の相次ぐ水素爆発でプルトニウムが大量放出されていたことは分っていたのに、これを必死に隠蔽した経緯が分ります。

当ブログでは、このことについて、4月12日に「プルトニウム隠し」というタイトルで記事にしています。

15分弱の短い動画なので、頭からご覧になることをお勧めします。


宮崎 哲弥&上杉 隆 - 国家と情報Part2(2/4)


東電、保安院がマスコミ各社に「プルサーマルのタブー」を通達していて、報道管制を強いていたことは確実です。

また、マスコミ自体もプルト二ウムが放出されていたことの重要性より、さらなる水素爆発の可能性ばかりに目を奪われて、プルトニウムについては追求しませんでした。

おかしいと気づいて、彼らを追い詰めたのは、上杉隆氏のようなフリージャーナリストたちでした。

そして、経済産業省は人々の関心も薄れたと思ったのでしょう、水素爆発から5ヶ月も過ぎ、そろそろ9月に入ろうかというときになって、こっそり放出された核種と量について、ホームページで発表したのです。

5ヶ月も経った8月26日になって、原子力安全・保安院は、こっそり驚愕のデータを出してきた

下の表は、経済産業省のホームページに目立たないようにアップされた報告の中にあります。

タイトルは、
2011年8月26日 東京電力株式会社福島第一原子力発電所及び広島に投下された原子爆弾から放出された放射性物質に関する試算値について
というマスコミ向けリリースです。

これは、3月11日から3月16日までに、どんな核種がどれだけ放出されたかを原子力安全・保安院が遡って推計したものです。

こんなことを8月26日になって、こそこそ出してきたのです。

クリックで拡大
20110907-4.jpg

この表について、週刊現代の9月10日号の記事によると、
20110907-1.gif

「このリストは、福島第一原発事故直後から3号機が爆発した後の3月16日までに、どれだけの放射性物質が大気中に放出されたかの試算を原子力安全・保安院がまとめたものだ。

それによると、放出された放射性物質は全部で31種類。

そのなかには半減期が2万4065年のプルトニウム239や、ストロンチウム 90なども含まれている。

プルトニウムは、セシウムや放射性ヨウ素と比較すると重く、東京電力が3月28日に、原発敷地内でごく微量を検出したと発表した以外、実際にどれくらいのプルトニウムが放出されたのかも明らかになっていなかった。

ところが、リストに記載された試算値では、プルトニウム239だけで合計32億ベクレルが大気中に放出されたというのである。

セシウム137にしても、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教によれば、広島原爆の150発分が放出されたことになる、というから衝撃的だ」。


と書かれています。

表の下に小さく記されているように、「IAEA閣僚会議に対する日本政府の報告書」として6月に作られたということです。

間もなく6月に入るというときになって、IAEAへの報告書の提出期限が迫ってきたので、今までひた隠しにしてきた「3月にプルトニウムが大量放出されていた」ことを、しぶしぶ正式発表した、ということです。

そして、経済産業省のホームページに掲出されたのはさらに2ヵ月以上経った8月26日なのです。
それも、もっとも目立たない姑息な方法で。

東電は、最初の爆発(3月12日の1号機の水素爆発)の時点でプルトニウムが放出されていたことを知っていたため、記者会見でマスコミが質問してくるまで、あえて自分のほうから「プルト二ウム放出の可能性」については言わなかったのです。

3月20日頃、私が海外の方々からいただいたメールによると、放射性核種に詳しい(欧米の人は日本人より詳しいのです)人々の間では、小パニックが起きていたようです。

海外の人々は、それほどプルトニウムが恐ろしいものであると認識しているのです。

難しいテーマを平易に解説することでお茶の間で人気となった池上彰氏でさえ、3月11日以降、何度も福島第一原発事故関連の特番のメインを努めながら、「プルサーマル」や「プルトニウム」については解説することができなかったのです。

いかに東電ほかの電力事業者、経済産業省、原子力安全・保安院、原子力安全委員会、電事連、電力総連、それに文部科学省たちの、いわゆる日本の原子力マフィア(海外では、nuclear Mafiaという呼称で報道されています)が、マスメディアを飼いならし、NHKにさえも強力な圧力をかけているか分ろうというものです。

東電は、プルトニウムを計測する機械を持っていないので、計測できない」などと、子供でも言わないような言い訳を通してきました。

東電が、やっとプルトニウムが放出されていたことを認めても、「ごく微量で心配ないレベル」をマスコミは何も調べないで、そのまま垂れ流してきたのです。
日本のマスコミは、国民の命を奪います。

その結果、マスコミは、まったく罪もない赤ちゃんまで被曝させたのです。

東電、電事連ら原子力マフィアのお仲間に、彼らの小間使いに成り下がってしまったマスコミのチンピラ坊やたち、東電によって接待漬けにされている老害ジャーナリストたちを加える必要があります。

記者クラブ制度のぬるま湯の中で、東電や電事連に飼いならされたオツムの足りない記者たちの本質は原子力マフィアの広報担当にしか過ぎないのです。

セシウムはヒロシマ原爆の168倍

この表によれば、ヒロシマの原爆で放出されたセシウム137(表のCs-137)は、8.9×10の13乗ベクレル、福島第一原発から出たセシウム137は1.5×10の16乗ベクレルですから、ヒロシマ原爆の約168倍、同位体のセシウム134の1.8×10の16乗と併せると、途方もない量のセシウムが放出されたことが分ります。

また、プルトニウム238、239、240、241(Pu-238、Pu-239、Pu-240、Pu-241)といった、恐ろしい核種も出ています。

プルトニウム239がβ崩壊する前のネプツニウム239(Np-239=物理的半減期は2.4日)も出ていますから、上の表にあるとおり、大量のプルトニウムが大気中に放出されてしまったことは疑いようのないことです。

ウラン238+中性子 → ウラン239 → β崩壊 → ネプツニウム239 → ベータ崩壊 → プルトニウム239〕の順に崩壊していきます。

問題は、放出されたプルトニウムがどれくらいの量で、どこまで飛んで行ったかです。

ガンダーセン氏は学者のネットワークを通じて、日本からのプルトニウムが太平洋を渡ったことを確認したと証言しています。

クリス・バズビー博士も同様です。

量については、上の表にある31種の核種をすべて足し算すれば総量が分ります。
プルトニウムも同様です。(どれかの核種に換算する必要があると思いますが)
大変な作業なので、ここでは割愛します。

福島原発から放出されたプルトニウム239は76兆ベクレル。これは前に、発表された量の実に23000倍の量だという
76 trillion becquerels of Plutonium-239 released from Fukushima ― 23,000 times higher than previously announced

この値は原子力安全・保安院がプログラムを使って推計した値です。

表にあるとおりネプツニウム239が生成されています。
ネプツニウム239の半減期は約2.4日なので、これがβ崩壊して、プルトニウム239が生成されている最中にあったということになります。

6月6日の時点で、東電、保安院の発表を聞いて、大気中にのみ(海洋に放出された分は加えていない)放出された放射性物質の量が77万テラベクレルであることは小出助教も確認しています。(彼らの発表が正しければの話)

この表を使って計算したプルトニウムの量は76兆ベクレル(3月16日までの放出総量)。
ただし、これは1号機が水素爆発した後、3月16日までの5日間に放出されたプルトニウムの量です。

政府の発表では、現在、福島第一原発から放出されている放射性物質の総量は1時間当たり2億ベクレルです。
これは1年で、約1兆8000億ベクレルになりますから、76兆÷1.8兆=43となり、なんと今の状態で43年間も続けて放出した場合の量になります。
それが、すべてプルトニウムなのです。

さらに、3月16日の時点で、まだβ崩壊していないネプツニウム239は、すでにプルトニウムになっている量の60倍もあったのです。

ですから、保安院は3月16日までの総量しか出していないのですが、3月17日以降も、この大量の在庫のネプツニウム239が、次々とプルトニウムになっていったということになります。

その一方で、毎日、新しいネプツニウム239が生成されていたのですから、もう計算のしようがありません。

おそらく相当の量のプルトニウムが東京にも飛んできていたはずです。
それも、数日ではありません。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月というような長い期間です。毎日、毎日、新しいプルトニウムが。

東電、保安院は、つまり3月の段階から、プルトニウムの放出量を把握していたのです。
にもかわらず、セシウムの量にだけ人々の関心が向けられるように、マスコミを通じて国民をスピン・コントロールしてきた疑いがあります。

プルトニウムの放出量を定期的に発表していれば、日本人はどうか分りませんが、世界中の人々はパニックになっていたでしょう。

しかし、プルトニウムは、山に、野に、校庭に、ビルの屋上に落ちており、野菜の葉や米に付着しているのです。

学者もセシウムのことにしか触れていません。
計測していないのですから仕方がないと言えばそうなのですが、ただ、彼らも現実に存在しているものを見ようとしていないだけなのかもしれません。

パニックにならないように…。

【この稿その2に続く】


syukenzaimin at 18:54│Comments(1)TrackBack(0)この記事をクリップ!日本の存亡 | 原発事故

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この記事へのコメント

1. Posted by よあけのうた   2011年09月17日 03:15
よなけのうた様

ご連絡ありがとうございます。

こういう調査を待ち望んでいました。
バスビー教授が介在されるなら信頼できるし、私の居住地域での調査ならお手伝いさせてほしいです。
示されたあて先に又別メールいたします。



欧州放射能委員会のクリストファー・バズビー博士が、『全国放射能MAP』 と 『全国食品放射能MAP』 を作成するに当たり、北は北海道から、南は沖縄まで、各地域で、土壌や食品の計測をしてくださる協力者を募集しています。

正直言って、現在、公表されている食品や土壌の放射能数値が、果たして、正確なのか?どうかも、私達には、わかりません。

しかし、現在、放射性廃棄物が、日本中に運ばれている以上、私たちが、私達自身で、食の安全や地域の安全を計測し確認する必要があるのではないでしょうか?

賛同者は、こちらへ、ご連絡を。 http://www.cbfcf.org/緊-急-募-集/

全国食品放射能MAP  賛同者募集 http://www.cbfcf.org/全国食品放射能map/

バズビー博士のホームページ     http://www.cbfcf.org/

バズビー博士は、心電図検査も大切ですが、先日の3373人の福島県の放射能検査の結果が、『問題なし。』になった事を、大変、心配していて、『早急に、これらの人々は、再検査をしたほうがよい。』という事を訴えています。
又、セシウムだけではなく、プルトニウムやウラニウムの検査も大切だと言っています。

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