1番、元プロゴルファーの父・一誠さんから譲り受けたパターを手にグリーンのラインを読む伊藤誠道=北海道・札幌GC輪厚Cで(武藤健一撮影)
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◇ANAオープン<最終日>
▽18日、北海道・札幌GC輪厚C(7063ヤード、パー72)▽雨、気温16・8度、風速1・5メートル▽賞金総額1億1000万円、優勝2200万円▽71選手(うちアマ1人)▽観衆6156人
新たな標的はマスターズ出場だ−。今大会の台風の目になり、3日目終わって首位タイに並んでいた伊藤誠道(16)=東京・杉並学院高1年=は、石川遼以来のアマチュアによるツアー優勝ならず。1バーディー、3ボギーの74とスコアを落とし、通算10アンダーで、Vに3打差の6位に終わった。だが、けれんのない戦いぶりはギャラリーのハートをつかんだ。新たな目標に、来年4月のマスターズ出場切符をかけたアジアアマチュア選手権(29日〜10月2日、シンガポールアイランドGC)の優勝を掲げた。
伊藤と並んで首位だった30歳のカート・バーンズ(オーストラリア)が通算13アンダーで日本ツアー初優勝を飾った。
雨の中、すでに優勝の望みを絶たれたものの、健闘を見せて18番グリーンに上がってきた伊藤をギャラリーが盛大な拍手で迎えた。「すごく楽しめました。昨日とは違った緊張感があった。アマチュアの分際で言うのも生意気かもしれないですが、悔しい。確実に(優勝を)狙える位置にいたわけですから…。スコアだけを見たら納得しないけれど、今日の経験はスコア以上によかった」。優勝には3打及ばなかったが、表情は満足感にあふれていた。
ツアー競技でのこれまでの自己ベストは、昨年の三井住友VISA太平洋の10位。「(あの時は)地に足がついていない感じだったが、今回は自分でプレーをしている感じがした。この1年で変わった」と自己ベスト更新の6位を喜んだ。さらに「高校に入って大人になったかな。成長した。目標を明確にして取り組むようになった。(中学の時に)もっと真剣に練習に取り組めばよかったかな」と笑った。
3日目にはパッティングで同組の小田孔明をうならせた。その武器となったのが、15年前に父・一誠さんからもらったオデッセイのマレット型パター。「合っているというか、魂が入っているんじゃないですかね。“おやじスピリッツ”です。何回か浮気したけど、ここに行きついた。一生使っていける」
そして4日間コースを歩いて見守ってくれたその父に「お父さんがいて自分はゴルフができている。偉大な父でありコーチです。親とコーチ(現在はプロコーチの内藤雄士氏)といろんな人に支えられて大きくなったから感謝しています」と話した。
次戦はアジアアマチュア選手権。「去年のアジアアマでは“優勝と言うだけは簡単なんで…”と言ったけど、今年は有言実行。優勝を狙います。きっちり練習して頑張りたい」。優勝すれば、マスターズに行ける。今大会の経験を糧に、“ひのき舞台”への出場切符獲得に挑む。 (櫛谷和夫)
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