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【コラム 私は見た!】

積み上げた星を大事にせよ

2011年9月19日

 中日までの展開があまりにも注文通りのものだったので、この二関脇雁行はこのまま二人の先行が続くのではないかと思っていた。言ってみれば、二人のさっそうたる土俵ぶりが、それほど飛び抜けていたからであろう。

 しかし、中日の土俵で琴奨菊がつまずくところを見ると、やはり人間まで変わってしまったわけではないと、変な感慨を持たされてしまった。

 琴奨菊という力士は、売り物のがぶり寄りに表されている通り、どちらかというと攻めに特徴がある。だから、攻め一方を繰り出した時には、いつの間にこんなに強くなったのかと、驚くほどの相撲を見せてくれる。だが、守り一本に追い込まれたとなると、少々様相が変わってくる。

 その性格のようなものが、中日の土俵には出たのではなかろうか。というのは、中日の一番では攻撃権のようなものを鶴竜に奪われてしまうのが、計算よりも早かったように思える。

 一つには相手が悪かった。攻守の微妙なやりとりの中で、守りから攻めに変わる、あるいは攻めから守りに転ずるといった際どいやりとりの中で、戦況を自分の有利な内容に変えてしまうことに関しては、鶴竜は名人芸のような技術を持っている。恐らく琴奨菊も、なぜこんな不利な戦い方をしなければならないのかと、納得がいかなかったのではあるまいか。

 かくて、ともに第一線で戦っていた二関脇が、一人一歩遅れることになったのだが、これは微差も微差、いつでも追いつける程度のものである。だから、これが差を広げられないように注意しなければならないだろう。

 それにしても、この二関脇の健闘にはただびっくりさせられるというところである。無敗で前半勝ち越しなどということは、飛び抜けた能力を持つ横綱のやってみせることであって、そうそう再々手の届くことではない。それだけに、中日までに積み上げた星を大事にしてほしいと思う。 (作家)

 

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