原子力に携わる研究者で作る日本原子力学会の大会が、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと初めて開かれ、事故を防げなかった反省と収束に向けた取り組みについて議論が交わされています。
日本原子力学会には、大学や研究機関、それに電力会社などで原子力に携わる、国内のおよそ7000人が所属しています。ことし3月の福島第一原発の事故のあと開催が見送られていた大会が、19日から北九州市で始まり、午前中は事故の収束と復旧への道筋を考えるシンポジウムが開かれました。はじめに、学会の会長で東京大学の田中知教授が「国民の皆様に多大な影響と心配をおかけし、原子力に関する活動を行ってきた学会として大変遺憾に思います」と述べました。続いて、学会として事故の調査を進めている分科会の主査で、東京工業大学の二ノ方壽教授が、事故を防げなかった背景について「専門家もこんなことは起こらないだろうと過信し、われわれ自身が『安全の神話』を作り出したと言われてもしかたがない。今後、原子力学会は事故と真正面から向き合い、収束に向けて努力しなければならない」と訴えました。日本原子力学会の大会は4日間の日程で、19日午後からはパネルディスカッションを開き、学会として今後何をすべきかを議論します。