東日本大震災で被災した自治体で、病気休暇を取る職員が増えている。自らも被災したり、過労でストレスが高まったりしていることも一因とみられる。専門家は職員の心身の健康にも気を配るよう求めている。
朝日新聞が岩手、宮城、福島の3県の沿岸部や原発事故に伴う避難対象の42市町村に、4〜7月に新たに病気休暇を取った職員数を取材。震災の影響を探るため、前年同期に休暇を取った職員数も合わせて聞いたところ、36市町村が答えた。今年4〜7月に休暇を取ったのは514人で、前年同期より72人多かった。
福島県富岡町の男性職員(37)は7月、うつ症状で1週間の休みを取った。同町は東京電力福島第一原発事故で、警戒区域にあった役場を福島県郡山市に移した。男性は避難住民の問い合わせに対応し、事故後は、たまに半日休む程度だった。「税金で働いているのだから死ぬまで働け」とののしられたこともある。妻から「家族のために生きて」と退職を促されたこともあり、休暇を取った。男性は「職員も同じ被災者と理解してもらえず、非常に悔しかった」と話す。
仙台市では、前年同期より20%多い131人が休みを取った。宮城県石巻市で休みを取ったのは36%増の45人。うち14人は自律神経失調症、うつ、不眠などによる休暇で、前年同期の7人から2倍になった。岩手県大船渡市では、前年同期より3人多い4人が病気休暇を取った。うち2人は、業務の合間を縫って行方不明の家族を捜したり、壊れた自宅を片付けたりし、抑うつ状態に陥ったという。