【コラム】「左派活動の場」に成り下がった韓国現代史(上)

 8月15日の光復節(日本による支配からの解放を記念する日)に、KBS放送はあるドキュメンタリー番組を放映する予定だったが、いざ当日になると放映には至らなかった。このドキュメンタリーは大韓民国の初代大統領である李承晩(イ・スンマン)元大統領の生涯と、第1共和国に焦点を合わせたものだ。放映されなかった理由は、左翼系の民間団体が「この番組は“独裁者・李承晩”を美化している。そのため、放映を強行するのであれば、KBSの金仁圭(キム・インギュ)社長の辞任を求める運動を展開する」と脅迫し、これにKBSが屈したためだ。この「李承晩ドキュメンタリー」に代えてKBSは『光復節慶祝式典中継』『歌謡舞台』『ドキュメンタリー-100年前の大韓帝国外交官イ・ボムジン』などを、「光復節特別企画」として放映した。

 「李承晩ドキュメンタリー」の放映を光復節に予定していたことについて、KBSは「制作スタッフの考えにすぎなかった。放送に至らなかったのは中止や延期などではない」と弁解し「李承晩ドキュメンタリーは後に各方面からの意見を十分にくみ取った上で、改めて放映する」とした。しかし、メディアにとってタイミングは命だ。1年近い時間と労力を費やし、抗日独立運動家で初代大統領でもあった人物のドキュメンタリーを制作したのであれば、それを光復節であり大韓民国政府樹立記念日でもある8月15日に放映するのは、小学生でも当然のことと考えるはずだ。

 光復節前日の朝、KBSは『韓国現代史の証言-テレビ自叙伝』という番組の中で、「在野の名誉-イェ・チュンホ編」を放映した。また来週の月曜日には「金大中(キム・デジュン)元大統領夫人-李姫鎬(イ・ヒホ)編」を放映すると予告している。これらの番組を制作、放映するに当たり、KBSが各方面からどれだけ意見を集めたのか逆に気になるところだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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