脱北した学生、「偽りの歴史」を悟る(下)

 パクさん(20)は「北朝鮮では、“韓国戦争とは先に南(韓国)が攻撃を仕掛けてきた戦争で、その後(北朝鮮が)すぐに反撃に出て3日でソウルを占領したが、これにソウル市民たちが万歳をして喜んだ”と学んだ」と説明した。

 学生たちは5、6日の2日間にわたり、慶尚南道昌原市の海軍士官学校で兵営生活を体験した。海軍士官学校の関係者は「北朝鮮を離れた学生たちを前に話をする際、韓国の一般人に説明するのと同じように、北朝鮮という言葉を“敵”という単語に置き換えて話していいのかどうか悩んだが、今ではそれが無駄な心配だったことが分かった」と話した。

 海軍士官学校の李仁浩(イ・インホ)官講堂で開かれた「士官生徒と脱北者の交流広場」で、脱北者向け教育施設「セネ学校」のパク・ヨンミョンさん(20)は「軍服を着た生徒と軍人を見て胸がドキドキしている」と話した。国軍兵士になることが夢というパクさんは、今回の兵営体験で入所者代表に選ばれた。海士2年生のチョン・ジェフンさんは、パクさんに「現在のところ北朝鮮出身の人たちは軍に服務できないが、法が改正されたら必ず入隊して素晴らしい軍人になってほしい」と胸の内を明かした。

 また、一行は7日、全羅南道宝城郡ポルギョ邑で干潟を見学した後、咸鏡北道の金東明(キム・ドンミョン)知事と面会した。同知事は韓国戦争当時、一番最初に38度線を突破し、北に収容されていた約10万人の人々を「興南撤収作戦」で避難させた英雄、金白一(キム・ベクイル)将軍の息子だ。イさん(18)は「金日成主席も将軍と呼ばれていたが、金白一将軍こそ“将軍”と呼ばれるにふさわしいお方のようだ」と話した。

 イベントを主催したMBCナヌムのチョ・ギュスン代表は「北朝鮮を脱出してきた青少年が、正しい歴史観を持ち、この国の本当の構成員になれるよう支援するために、今回の旅行を企画した」と、同イベントの目的について語った。

ハン・サンヒョク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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