脱北した学生、「偽りの歴史」を悟る(上)

180人の脱北青少年が韓国体験旅行

故郷の父に思いをはせるかのように金白一将軍の息子と抱き合う

巨済市の捕虜収容所では「北のドラマでよく見た」

兵営体験では「胸がドキドキ」

 「北朝鮮にいる時は、あの顔が世界で一番ハンサムな顔だと思っていましたよ。笑えるでしょう」

 今月6日、慶尚南道巨済市の捕虜収容所遺跡公園。北朝鮮を抜け出してきた青少年のための教育施設「ハヌルクム学校」の女子学生、ソン・クムジュさん(20)は、ある展示館に展示されていた故・金日成(キム・イルソン)主席の肖像画を見て「2年前に北朝鮮から抜け出し、18年間信じてきたことが全てうそだったということが分かった。当時のむなしさときたら、言葉では到底説明できない」と話した。

 韓国戦争(朝鮮戦争)当時、巨済島の捕虜収容所には朝鮮人民軍15万人、中共軍2万人の捕虜が収容され、右翼・左翼による思想的葛藤で多くの若者が犠牲となった。ソンさんは「北朝鮮でもこの捕虜収容所を題材にしたドラマが放送されていたので、私たちもこの場所についてよく知っている。韓国が人民軍の捕虜を無慈悲に拷問し、搾取したという話を耳にたこができるくらい聞かされた」と語った。学生たちは金日成主席の肖像画を見ると「主席様の登場ですね」と冗談っぽく笑った。

 今回この地を訪れたのは、今月5日から3日間の日程で行われた「脱北青少年南道旅行」というイベントに参加した学生たちだ。全国8カ所の脱北者向け教育施設に通う脱北青少年180人が参加した。北朝鮮で、捏造(ねつぞう)された歴史について学んできた学生たちが、正しい歴史認識と安全保障観を抱けるように、巨済島の捕虜収容所遺跡の見学、海軍士官学校での兵営体験などの機会が与えられた。

 同行した教諭は「学校で韓半島(朝鮮半島)の正しい歴史について教えると、北朝鮮出身の学生たちは初めショックを受ける。しかし、若くして韓国にやって来た学生たちは、北朝鮮が主張する“北侵説”(韓国戦争の時、先に韓国側が攻撃を加えたという説)が空論だということをすぐに悟るようになる」と話した。

「脱北青少年の南道旅行」イベントに参加した学生たちが5日午後、慶尚南道昌原の海軍士官学校で行われた海軍兵営体験に参加し、笑顔でボートを漕いでいる。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

조선JNS | 서울 종로구 신문로1가163 광화문오피시아2213 | 등록번호 서울아01574 | 발행인ㆍ편집인 심인숙 | 등록일 11.04.01