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花王カスタマーマーケティング
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写真1●カテゴリーマネジメントの企画全般を担当する流通開発部の堀康人・部長 |
「昔なら、他社と差異化できる良い製品を作れば売れたが、今は絶えず店頭でアピールすることが不可欠だ」。花王カスタマーマーケティング(花王CMK、東京・中央)流通開発部の堀康人・部長はこう話す。
同社は今年4月に旧・花王販売と旧・花王化粧品販売が合併して発足した花王グループの販社である。売上高は6141億円(2007年3月期の2社合計)で、日用品卸としては国内最大級だ。
花王はライバルの日用品メーカーと異なり、生産から販売・物流まで自前で手掛けることを強さの源泉にしてきた。これを支援するのが「カテゴリーマネジメント」という販売手法。小売店の店頭において、シャンプーや洗剤などの商品分野(カテゴリー)ごとに、花王以外の製品も含めた最適な売り場構成(棚割り)を提案する手法である。
花王CMKでは約2000人の営業担当者全員がカテゴリーマネジメントを習得。「とにかくうちの商品を置いてください。価格も安くします」と営業するのではなく、データに基づき、小売店にとって売上高と粗利益を最大化できる棚割りを提案する。そのなかで花王製品も薦める手法を徹底している。提案先は企業数で400〜500社、店舗数で数千店になる。
棚割りの主導権を握ることで、特に新製品の店頭露出を増やすことに成功している。例えば、今年4月に発売したヘアケアの新ブランド「セグレタ」は発売後1カ月で300万本を販売し、約5%のシェアを獲得した。セグレタは40代女性にターゲットを絞った高級品で、万人受けする派手な商品ではない。既存ブランドの「メリット」「アジエンス」などが置かれた小売店の棚に、さらにセグレタを置いてもらううえで、カテゴリーマネジメントで培った提案力が役立った。
図1●花王カスタマーマーケティングは各種分析ツールを駆使して提案力を強化 [画像のクリックで拡大表示] |
旧花王販売は2000年ごろからカテゴリーマネジメントへの取り組みを本格化している。同様の手法を駆使する米P&Gなど外資系日用品メーカーへの対抗という側面が強い。提案には、商圏情報やPOS(販売時点情報管理)情報などを分析する各種IT(情報技術)ツールが必要になる。流通開発部がツールの企画・改良を担当する。
「個々のツールを見れば、他社のもののほうが優れている部分もあるが、人が考えて動く体制に当社の強みがある」(堀部長)。花王CMKでは、顧客である小売チェーンの本部を担当する「アカウント担当」と各地にあるチェーンの個店を担当する「ストアアドバイザー」を配して、きめ細かく連携。「花王マーチャンダイジングサービス(KMS)」という専門部隊の存在も特徴だ。全国に約900人いるKMSのスタッフは、商談などはせず、店舗を巡回して売り場の整備や確認に専念する。