2011年7月19日 20時28分
風俗店経営の男性を誘拐して殺害後に現金約5000万円を奪ったなどとして強盗殺人罪に問われた横浜市港南区の無職、小谷野裕義被告(39)の控訴審で、仙台高裁は19日、懲役15年(求刑・無期懲役)とした1審・仙台地裁の裁判員裁判判決を破棄し、地裁に審理を差し戻した。飯渕進裁判長は判決で「1審は審理を尽くしておらず、判決に影響を及ぼすのは明らか」と指摘した。
笹本智之受刑者(37)=無期懲役の仙台地裁判決が確定=との共謀の有無が争点で、1審判決は殺人の共謀は否定し、強盗致死罪にとどまるとした。これに対し高裁は「被告の法廷での供述でも、現場で暗黙のうちに共謀が成立していた可能性が濃厚」と指摘。さらに▽争点整理が不十分▽検察側主張を正しく把握していなかった--などと裁判員の審理を批判した。
差し戻し審は新たに裁判員を選び審理される。
仙台高検の斉藤雄彦次席検事は「当庁の主張がおおむね受け入れられた判決」とのコメントを出した。【高橋宗男】