シリーズ続編に偏重する流れを『ゴッドイーター』が止める
――新しい面白さという点では、バンダイナムコゲームスのタイトル群は、昔から馴染みがあるものが数多くある一方で、ここ数年で急速に立ち上がったタイトルが少ないようには見えます。
鵜之澤氏:去年はシリーズもの――いわゆるフランチャイズと呼ばれるタイトルが計画時点から非常に多くて、8割方はそうしたタイトルだったと思います。
実は、この状況をエンターブレイン社長の浜村(弘一)さんにも指摘されたんですよ。
――指摘されたというのは?
鵜之澤氏:今年の頭、社内で浜村さんに講演会をやっていただいたんですけど、その際、エンターブレインで調査した過去5年間くらいの、うちのタイトル売り上げトップテンの推移が取り上げられたんです。
そのトップテンは、シリーズタイトルに色がつけてあって、年を追うごとにトップテンの中身が色のついたものばかりになっていく――。ついに2009年度は、ほぼ100%になってしまう結果を見て、浜村さんから「バンダイとナムコが統合して、新しいものが出てくると思っていたら、何も出てきていない」って、言われてしまったんです。
まあ、それはデータを見れば明らかですし、浜村さんはうちの会社の問題点を見抜いていたんですよね。
ただ、講演してもらった時期は『ゴッドイーター』の発売前。これがあれば新規タイトルとして堂々とランクインしたんですけどね(笑)。
その後、浜村さんも『ゴッドイーター』のヒットを見てくれていて、50万本超えたところでお祝いのシャンパンをいただいたんですよ。すごくうれしかった。
――『ゴッドイーター』は、PSPの「協力プレイ」人気のトレンドに合致したタイトルでしたね。
鵜之澤氏:カプコンさんの『モンスターハンター ポータブル』の魅力である「協力プレイ」の面白さを研究させてもらって、それとは違う形で、『ゴッドイーター』ならではの特徴をアピールできるように開発を進めました。
だから、ターゲットは明確なタイトルだったんですけど、ここまでユーザーが反応して、ヒットに結びつくとは思わなかったですね。こんな直球で反応することに、少しとまどいましたよ。
――やはりゲームファンは世代交代が進んでいるんですね。従来の目が肥えた20代、30代のコアゲーマー層と、中学生や高校生の若い新しいユーザーは求めるものも違うし、新しいタイトルに貪欲なんじゃないですか。
鵜之澤氏:ええ、何か新しいものを探していますよね。だからこそ、僕らも反省して、昔のビッグタイトルのシリーズ続編もの――すなわちフランチャイズを売るばかりではなく、新しいものを探しているユーザーの期待に応えられるタイトルを開発しないとね。
――変化のスピードが激しい時代のため、タイトルによっては陳腐化するスピードも激しいので、“シリーズもの”の数字は今後ますます読みにくくなっていくかもしれません。
鵜之澤氏:それは当然と言えば、当然なのかも。いよいよ、そういう時代が来たなって感じていますよ。