トップページ > なっとく法律相談 > 供述書に署名・捺印をしてしまったが、取り消すことは可能ですか?
なっとく法律相談 2003年12月 1日 更新
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先日、車内で休んでいたところ、パトカーが来て免許証の提示を求められました。免許証を見せると、「すいませんが、トランクの中とかも見せてもらっていいですか?」と言われたので、やましいことはないので素直に見せました。トランク、ダッシュボード、コンソールボックスと見たところ、コンソールボックスから折りたたみ式のペンチ(ミニナイフ、缶切り等の付いた物)が出てきました。
警官 「これは、何に使うの?」
私 「工具です。」
警官 「ナイフが付いてるから持っていてはいけない。」
私 「分かりました。帰ったら家に置いておきます。」
警官「それを持っては帰せない。」
私 「じゃあ、没収していいですよ。そんなこと言うなら、いらないから持っていって下さい。」
そんな感じのやり取りをしばらくしていました。「没収するのもただ没収はできないから、警察署で書類を書いて。」と言われたので、渋々警察署に行くと別の警官が出てきて、何の説明もなく供述書を作り始めました。こうなっては、何を言っても無駄だと思い素直に指示に従いました。
帰って考えると、納得がいきません。理由として、
何も悪いことをしていないのに、犯罪者に仕立て上げられたって気持ちです。自分たちの点数稼ぎのために犯罪者にされたとしか思えません。犯罪を未然に防ぐためと言って無理に犯罪者を作ることはないと思います。撤回したいのですが、可能でしょうか。
(30代:男性)
お気付きでないようですが、あなたは現行犯逮捕されています。軽犯罪法か銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)違反のどちらかです。ミニナイフの刃渡りの長さから考えれば、軽犯罪法(1条2号)だと思います。
現行犯で逮捕されて(逮捕されていなければ指紋採取、写真撮影が許されるわけがありません)、供述書を取られ署名もし、証拠品(折りたたみ式ペンチ)も揃っているとなれば、もはや警察を相手に撤回することはできません。
否認するとしたら調書を取られる段階でナイフを車内に保管していた「正当な理由」(軽犯罪法1条2号2号)を主張するべきでした。簡単な調理(ドライブの時果物の皮をむくなど)、職業上の理由(あなたは建設業に従事されているということなので)、便宜からちょっとしたナイフを車内に保管することは何の問題もありません。正当な理由があるのに刃物を一切持ち歩けないなんて、そんなバカなことはありません。
容疑を否認しなかったあなたの処遇は、今後検察に委ねられます。検察官は調書、証拠品などを調べ、起訴するかしないかを決定します。今後の手続を見てきましょう。
あなたが初犯でしたら、このような微罪では起訴猶予(刑事訴訟法248条。犯罪は成立していても、犯人の性格、年齢、犯罪の軽重、情状などを総合的に判断して不起訴にする処分)になる可能性が大きいと思います。
起訴猶予になれば、あなたは「無罪放免」となります。もっとも、その前に検察官があなたを取り調べることになると思われますから、「正当な理由があって所持していたが、警察の取調べではそれを言い落としてしまった。決して不当な目的のため所持していたのではない」と主張すればいいでしょう。指紋や写真は警察に資料として残ってしまいますが、今度の事件について直接不利益を受けることはありません。
もし起訴されれば、裁判所から呼び出しが来ます。今回のような軽い事件では略式手続が取られると思います。略式手続とは、公判を開かず書面審理だけで刑を言い渡す簡易な刑事裁判手続のことです。この手続には、被告人の公開裁判を受ける権利などが放棄されることになるので、被告人の同意が書面で必要です(刑事訴訟法461条の2第2号)。あなたが公開裁判を望むなら同意しなければいいのですが、事件数でみると起訴される事件の9割以上が略式手続によって処理されている現実もありますから、あまり神経質になることはないと思います。
その結果有罪となったら、軽犯罪法でしたら科料(罰金とともに財産刑の一種)が科されます。主刑の中では最も軽い刑罰で、払ってしまえばそれで終わりですが、払えない者は労役場に留置されて金額分働かされますから注意してください。
最後に付け加えますが、有罪が確定して初めて「没収」を受けます。没収は刑罰(付加刑)なので、罪が確定しないのに「没収」されることはありません。警察内の手続では、あなたのナイフは単に証拠品として押収されただけだったのです。
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