右からの強烈な突き押しが決まり、鶴竜(右)を押し出しで破った稀勢の里=両国国技館で
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◇秋場所<7日目>
横綱白鵬(26)=宮城野=は小結豊ノ島を危なげなくはたき込み、初日から7連勝とした。白鵬と優勝争いのトップに並ぶ両関脇は、琴奨菊(27)=佐渡ケ嶽=が隠岐の海を寄り切り、稀勢の里(25)=鳴戸=も関脇同士の一番で鶴竜を力強く押し出してともに無敗を守った。鶴竜は4敗目を喫し、今場所後の大関昇進が極めて厳しくなった。大関日馬富士は嘉風のはたき込みに屈して3勝4敗。全勝は3人で変わらず、1敗は平幕の栃煌山と臥牙丸の2人となった。
すさまじいパワーだ。稀勢の里が右からの押し一発で鶴竜を土俵の外まで吹っ飛ばした。これで初日からの連勝を「7」と伸ばして自己記録を更新。関脇対決にあっさり決着をつけた。
「きょうは全然集中できなかった。失敗です」と反省したように立ち合いは劣勢。もろ差しを許し、いったんは土俵際まで詰まってしまう。しかし、ここで慌てないのが好調の証明。
「いつもだったら下がって、突き落としにいってそのまま(負け)だったと思う。うまく体が反応した」
ここで飛び出した必殺の右一撃。鶴竜が前に出てカウンター気味に入ったとはいえ、大関とりに燃える144キロの鶴竜を一発で仕留めたのだから威力は半端じゃない。
「たまたま。タイミングとか、すべてが良かったんでしょう」
謙虚に振り返る稀勢の里だが、パワー強化の裏付けはこの夏、20日間に及んだ青森合宿にある。突き押しの動きを鍛えるため板の上に人間やバーベルを乗せて持ち上げる筋トレなどで限界まで鍛え上げた。
「まわしにこだわらず(相手に)圧力をかけて出ていくのが自分のスタイル。力になったし、厳しい稽古をこなしたという自信になっている」
大関昇進レースで先行されていた鶴竜を下し、無傷の7連勝。このままいけば大逆転の大関昇進だって夢じゃない。「満足したら駄目。体は動いている。こういう時こそ厳しくいかないと」。運命を握る横綱、大関戦を控えて自らを奮い立たせた。 (竹尾和久)
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