北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

中島尚俊さん(60)*JR北海道社長*旭川「北彩都」開発事業に力*魅力もっとアピール   2008/01/06

<略歴>
 なかじま・なおとし 1947年、旭川市生まれ。旭川北高から東大経済学部を卒業し69年に国鉄に入社。分割民営化後の87年にJR北海道へ。営業部長、旅行業本部長など営業畑を歩み、2005年代表取締役専務に就任。07年6月から現職。父も元国鉄マン。

 旭川市やJR北海道などがJR旭川駅周辺で進めている開発事業「北彩都(きたさいと)あさひかわ」。旭川出身のJR北海道社長の中島尚俊さん(60)は、旭川の現在を「第二の開拓期」ととらえ、北彩都事業を起爆剤にした市街地活性化に期待を寄せる。北彩都にかける意気込みや、入り込み客数で道内2位の観光都市となった故郷への提言を聞いた。

(旭川報道部 森奈津子)

 −−事業の目玉となる鉄道の高架化の完成は約2年後、駅周辺整備を含む全事業の完了まで約6年になりました。

 「忠別川で分断されている南北の市街地を駅周辺の鉄道高架や架橋によってつなぐこの事業により、旭川は第二の開拓期を迎えます。JRとしても札幌−旭川間の往来が増えることを、大いに期待しており、『失敗は許されない』という強い意気込みで取り組んでいます」

 −−新駅舎は斬新なデザインですね。

 「ガラス張りの駅舎は全国でも珍しく、ガラスは透明度の高い川を、四つ手の柱は原始林をイメージしています。豊かな自然がある道北の玄関口として、個性があふれ、利用しやすい駅を目指しています」

 −−旭川市が中心になって進めている周辺開発を含め、事業の全ぼうは明らかになっていません。新駅舎完成後、JRの土地にホテルや商業施設を建設する計画もあると聞きます。

 「ホテルや商業施設などの案があるのは事実です。ただ具体的な計画を策定するのは今年の後半以降で、まだ時間的に余裕があります。旭川駅周辺の再開発は札幌駅を一つのモデルとしていますが、札幌駅の場合、高架化から大型商業施設のJRタワーの建設まで、実に10年以上もの歳月をかけ、現在の成功につなげました。旭川にはほかにもホテルの建設計画が複数あると聞きます。そうした中、JRの新たな建設で、どこまで需要を掘り起こせるか。今後の北海道経済全体を慎重に見極め、判断したいと思っています」

 −−今や道内2位の観光都市に変ぼうした旭川をどうみていますか。

 「私が大学生活を送っていたころ、東京の人間にとっての旭川は『日本で一番寒い地域』という程度の認識でした。それが今や、旭山動物園効果で抜群の知名度を獲得しています。交通の便が良くなることで人口を都市部へ吸い上げ、一極集中に拍車をかけるストロー現象が指摘されていますが、旭山の成功例は、地方が都市から人を吸い寄せることもできると実証してくれました。これを機に動物園だけにとどまらない旭川の魅力をアピールすることが大事です」

 −−臨時列車の旭山動物園号は大人気です。動物園人気はJRの経営に貢献していますか。

 「道内の主な都市間輸送が横ばいか微減傾向にある中、札幌−旭川間の輸送人数は2003年以降、伸び続けています。まさに動物園の効果です。旭山動物園きっぷ(JR往復切符、動物園までの往復バス券、入園券のセット)の昨年の販売実績も、前年の7万8400枚を上回る10万枚に迫る勢いです」

 −−JRが社運をかけて取り組む新幹線の札幌延伸に対し、道北地域では冷めた見方もあります。

 「例えば東北新幹線は青森県県八戸まで伸びた際、その先にある弘前でも、東京などから桜を見に来る人が増えました。札幌−東京間が陸路で結ばれれば、その効果は確実に道北にも広がります。お客さんに、まずは札幌まで来てもらい、その先、どうやって自分のマチに足を伸ばしてもらうかは、知恵の出しどころ。はなから『関係ない』とあきらめず、ぜひ旭川の活性化にもつなげてほしい。われわれも新幹線効果は全道に広がる可能性があることをもっとPRしなければなりませんね」

記者のメモから

 インタビューは、昨年12月中旬の防護無線作動で大量の運休を出した直後で、「まだ謹慎中の身ですが…」と頭を低くしながらの応対。

 グループ企業を含め総勢1万4000人の社員を率いるトップの社内での愛称は「スマイリー中島」。エリートらしからぬ、絶やさぬ笑顔でつちかった人脈と信頼感は道内経済界でも一目を置かれている。社長就任直後の昨年7月に旭川で開かれた「中島社長を激励する会」には旭川北高時代の同窓生を中心に大勢が集った。これからも郷土への愛情を心に秘めながら、北海道経済を引っ張っていってほしい。

 
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