映画「スター・ウォーズ」に出てくる架空の惑星「タトゥイーン」のように、2つの恒星の周りを公転する珍しい惑星が発見された。最近、太陽系の外の世界に関する新たな発見が相次いでいる。
米航空宇宙局(NASA)のケプラー宇宙望遠鏡によって発見されたこの惑星は、太陽系外で初めて確認された太陽系のようなもので、ハリウッドのSF映画のファンタジーを天文学上の事実に変えるものだ。「ケプラー16b」と呼ばれるこの惑星は土星ほどの大きさで、はくちょう座の2個の恒星の周りを一周229日かけて公転している。科学誌「サイエンス」で発表された。
ノースウェスタン大学の天体物理学者フレッド・レーシオ氏は、「惑星系と聞いて予想できることは、みな実際に起こっている」と述べた。同氏はこの研究に参加していない。
地球から200光年離れた位置にあるケプラー16bは、赤とオレンジの影に覆われた惑星で、2つの小さな恒星の出す色の付いた光を受けて輝いている。温度は南極の冬の真夜中の気温よりも低く、カ氏マイナス150度(セ氏マイナス101度)前後だ。惑星の周回に関する力学が複雑なため、1日2回の日の出と日没は同じようになることはない。
ルーカスフィルム傘下のインダストリアル・ライト・アンド・マジック(ILM)のジョン・ノール氏は、「現実はフィクションよりもずっと不思議で、すごいものだということを何度も思い知らされる」と述べた。同氏はスター・ウォーズ映画3本のビジュアル効果を監督した。
今週はわれわれの太陽系の外の世界についての新たな発見が相次いだ。全部で、欧州と米国の4つの研究チームが74の未知の太陽系外惑星の発見を明らかにした。そのうち16個は地球よりもわずかに大きく、生命に適していると考えられる重力があるとみられている。
そのうち1つは、質量が地球の約3.5倍で、今週この発見を発表したヨーロッパ南天文台(ESO)の天文学者によれば、水が液体状になっている可能性があり、生命が誕生しうる環境にあるかもしれないという。これまで発表された太陽系外惑星683個は、毒性が強いとか温度が高いとか低いといった理由で生命がいるとはみなされていない。