にいがた映画塾コム

2001.6.26

NHKニュースに出演!

「FCがないと、映画はもう地元に来なくなる」

写真=NHKニュースに出演し、フィルムコミッションについて説明する星さん(右)と、アナウンサーの三上さん(中央)、畠山さん(左)

 6月26日、NHK新潟放送局が制作する夕方のニュース「新潟発ふれっしゅ便」に、にいがた映画塾の星龍雄さんが出演し、フィルムコミッション(FC)を新潟につくろうという取り組みについて話をしました。

 星さんはFCとは何かから始まり、その効果や地域メリットなどを映像や図を使って説明。にいがた映画塾がFC設立を呼び掛けた理由として昨年、映画塾が誘致した映画作品に触れ「(一般市民からは)映画塾という単なる映画好きの集まりがやっていることとしか見られず、なかなか広がりがない」という反省点があったと話し、FCが全国で誕生している状況を知り、映画塾が誘致の柱となるそれまでの方針を変えたと説明しています。

 また「FCを作る作らないではなくて、FCのような組織が全国各地にできてくると、FCがないと映画は来ないということも十分考えられる」として、FCは地方の活性化に必要不可欠の組織であると強調しました。

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NHK新潟放送局

「新潟発ふれっしゅ便」詳録

6月26日(火)午後6時半―40分ごろ

出 演 星 龍雄(にいがた映画塾)

聞き手 三上 弥(わたる)アナウンサー

    畠山 明日香さん

 三上 NHK「新潟発ふれっしゅ便」。ここからは、新潟を舞台にした映画を誘致したい、そのような取り組みについて特集します。

(第6期にいがた映画塾の様子の映像)

 畠山 ご覧いただいているのは、市民に映画のつくり方の基礎や実践を教えているグループ「にいがた映画塾」の講座の様子です。この4年間で200人以上が受講しました。
 にいがた映画塾では、映画の技術を教えるだけでなく、映画を制作しやすい環境をつくって、多くの映画の撮影を誘致し、新潟のPRにつなげようという取り組みを始めました。

 三上 スタジオには、にいがた映画塾の星龍雄(ほしたつお)さんに来ていただいています。
 畠山 星さんは、新潟日報の記者を務めるかたわら、仕事とは別に「にいがた映画塾」の中心メンバーとして活動しています。

 三上 さて星さん、新潟県での最近の映画制作の状況は?

  最近最も大がかりだったものは、2年前に全国で公開された坂口安吾原作、手塚眞監督の映画「白痴」です。これは県庁のわきの美咲町で大きなオープンセットを建てて撮影され、県内からは1000人ぐらいのボランティアやエキストラが参加し、制作をサポートしました。
 当時は映画に対する理解とか気運が盛り上がっていたのですが、これを継続して、もっと市民に映画づくりについて知ってもらいたいと、いま提唱しているのがフィルムコミッションという組織です。

 畠山 フィルムコミッション、耳慣れない言葉ですが、もう少し詳しく教えて下さい。

  フィルムコミッションというのは、映画だけでなくテレビドラマやCMの撮影などを誘致し支援する組織です。

 ちょっとクリップを見ていただきたいんですが、フィルムコミッションができる前は映画製作者がロケ地探しや宿泊の手配、エキストラの手配、公共の施設を使うときの自治体の許可、あるいは(警察への)道路使用許可、これは別にカーチェイスだけではなくて、ただ道を歩くだけでも警察の道路使用許可が必要なんですよ。また、火を使う場合は消防署への届け出が必要です。
 これまではすべて個別に申請や届け出をやっているわけです。つまり非常に手間と時間とお金のかかる作業でした。
 フィルムコミッションというのは、こういった許可・申請やエキストラ集めを映画の制作者側に代行して行う組織です。行政などが絡むことで自治体の施設の使用や警察の許可が下りやすくなるという期待があるわけです。

 畠山 映画をつくる前にさまざまな込み入った作業があるわけですが、それを代行して行ってくれるのがフィルムコミッション。映画製作者にとっては映画をつくることだけに集中できることになるわけですね。

 三上 フィルムコミッションというと、東京では既に取り組みが行われているわけですね。

(東京都のフィルムコミッション開設の映像)

  これは石原都知事が先頭に立って「銀座でカーチェイスの撮影をやろう」というようなPRをしていますね。東京でもロケの誘致に本格的に乗り出したというわけです。

 畠山 銀座でカーチェイスとはずいぶん思い切ったことですが、行政と連携することでそういうこともできる可能性があるということですね。
 映画塾でもこのフィルムコミッションの代わりにロケを誘致したことがあるということですね、その映像をご覧いただきましょう。

(映画「ビジターQ」の撮影風景)

  これは昨年、三池崇史監督の「ビジターQ」という作品の制作風景です。

 三上 これは豊栄駅ですね?

  そうです。ほかにも一軒家を借りて、新潟市内では公園を借りたりして撮影を行いました。これはにいがた映画塾がこういう場所はどうでしょうかと提案して、行われたわけです。
 ただ映画塾がこういった映画に協力しても、映画塾という単なる映画好きの集まりがやっていることとしか見られず、なかなか広がりがないというところがあるわけです。昨年フィルムコミッションという言葉を聞き、あ、こういう取り組み方があるのかと知り、フィルムコミッションをつくって映画を誘致しようと言う方向に(映画塾の方針を)変えたわけです。

 三上 さきほどの東京都の例もそうなんですが、市民団体だけでなく行政や経済団体が加わることで、ロケ地となる地元としてはどんなメリットがあるんでしょうか。

  まず一つは地元のイメージアップにつながります。新潟というものが映像になって、それが世界中で流れれば瞬く間に新潟のイメージアップにつながるし、認知度も高まります。
 もう一つは地元への経済効果というものも間違いなくあります。例えばロケの撮影隊というのは10人の場合もあるし100人の場合もありますが、新潟に滞在しなければなりません。宿泊費、あるいは食事、お弁当、車を借りたりタクシーを借りたりという場合もあるでしょうし、そういった経済効果が期待できます。
 映画「白痴」の場合ですと、経済効果は5000万円という試算があります。
 それから、地元の人にとっては見慣れた風景が映像化されることで「新しい発見」というものもあると思うんです。例えば「白痴」の場合は松之山の美術館や巻町の海岸で撮影されたのですが、非常に幻想的なシーンになっていました。「あの風景がこんな風に変わるのか」とか「こんなにきれいな場所だったのか」と、再発見の効果が期待できると思います。

 畠山 新潟での撮影は映画だけではありません。こんなものも撮影されていました。ご覧下さい。

(PitchTalks「子供じみた青い考え」のビデオクリップ=篠原哲雄監督=の映像)

  これは昨年新潟市内で撮影されたんですが、プロのアーティストのビデオクリップです。これは新潟市の青山海岸ですね。これは万代橋です。

 畠山 ほんとうに見慣れた風景が次々と出てきますね。

  そうですね、「あ、ここ知ってる!」みたいな感じがあると思うんですけど、こういったビデオや映画を見て観光客が増えれば、地元の人にとっては誇りにもなると思うんです。

 三上 知っている風景が出てくると、ホッとしますね。
 星さん、このフィルムコミッションというのは、東京以外ではどういうところにあるんですか?

  私どもが数えたところでは全国でいま18ほどあります。昨年2月に大阪で初めて設立され、それから神戸や北九州などでできて、最近では金沢市とか富山県の高岡市なんかで設立されています。
 そのすべてが県や市や経済団体なんかが絡んでいます。そして8月には全国協議会が設立される予定になっています。

 畠山 いろんな取り組みが活発になってきているようですね。新潟では今後、どんな風に取り組んでいくのですか?

  いま県や新潟市の観光関係の方に、こういったフィルムコミッションを立ち上げましょうと呼び掛けて、検討してもらっている段階です。
 ただ一つ言えるのは、フィルムコミッションを作る作らないではなくて、フィルムコミッションのような組織が全国各地にできてくると、フィルムコミッションがないと映画は来ないということも十分考えられるわけです。これからますます必要になってくる組織だと思います。
 実はですね、いま映画とテレビそれぞれ1本ずつ、新潟で撮影したいという相談がにいがた映画塾に寄せられていまして、そういった動きと一緒になってフィルムコミッションが立ち上がればいいなと思っています。あとはフィルムコミッションができるだけだということです。

 三上・畠山 星さん今回はどうもありがとうございました。

  ありがとうございました。

 三上 「新潟を映画の街に」、にいがた映画塾の星龍雄さんにうかがいました。

(敬称略) 

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